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我が家のベランダには、木製の目隠しフェンスが設置されています。
もちろん、手作り。特に耐朽性を意識した材料を使った訳ではありません。
築6年超。
一部に腐朽菌の繁殖による腐れが認められます。
おそらく『褐色腐朽菌』。お盆休みを利用して修理をしないといけません・・・。
写真は北海道で確認された『内部結露』による躯体の腐朽例です。
木の腐れ(腐朽)は木材腐朽菌(以下、腐朽菌)という微生物によって起こります。
カビも同じく微生物の一種です。
カビは付着した畳や木材・壁紙などの表面にコロニーをつくり、水を吸い上げて繁殖します。
でも付着したものの組織を破壊する事はほとんどありません。
またプラスチックなどの内部に潜り込むカビを除けば、アルコールなどで除去すれば痕跡もほとんど残りません。
カビも腐朽菌も、胞子・種のような形でごく普通に大気中に漂っています。
これが付着した材料表面の温度・水環境がその種に適切であれば繁殖を始めます。
つまり原因は空気にあり、材料には無いことになります。
一見よく似た両者ではありますが、腐朽菌は木材の繊維を破壊し、繁殖の栄養に変える点が大きく異なります。
腐朽菌の繁殖は非可逆的な過程として構造躯体であれば構造耐力の劣化を招きます。
その意味で、特に木造住宅においては腐朽菌は絶対に繁殖させてはなりません。
幸い腐朽菌の繁殖条件はカビに比べて非常に狭く、また繁殖能力もカビより格段に低くなっています。
カビの繁殖能力を横綱に例えれば、腐朽菌は小学生くらいなんですって・・・。
HEAT20は、様々な条件下における腐朽菌の繁殖を実験したそうです。
その結果概要が以下となります。
いずれも温度は30℃程度。
腐朽菌にとって繁殖しやすい温度です。
①含水率40~60%で100日程度経過すると腐朽菌は繁殖します。
②この日数は連続する必要はなく、例えば含水率が30%程度まで低下した場合あるいは80%を超えた場合、その期間は単に腐朽菌の生育が停止している状態とみなせるそうです。
含水率20%以上の場合、40~60%の範囲にある期間が100日程度を超えると腐朽菌が繁殖すると考えられています。
③含水率が20%よりも低くなると木材腐朽は遅れます。
腐朽菌は初期生育段階では肉眼で見えません。
生育が進み、ある時突然目に見えるようになります。
これが繁殖状態です。
初期生育状態では木材実質部の組織破壊はほぼありません。
繁殖状態に入ると木材実質部が減少します。
前述の腐朽菌繁殖条件は、菌糸の長さの成長に基づいたものです。
含水率40~60%で伸び、20~30%ならびに60%以上では菌糸の成長は停止します。
含水率20%を切ると菌糸がダメージを受けるというイメージです。
木材の腐朽については、含水率30%程度の繊維飽和点を超える(水が周囲にたっぷりある状態)で、およそ3か月連続することが目安になります。
一般的な住まいに見られる結露現象では、これほどの高湿な状況は極めて珍しく、その意味では腐朽の原因が結露である事は少ないと言えます。
ただし漏水で一時的に侵入した水が結露にして、一か所に集中するような場合。
そして、1週間以上も結露が続くような場合は木材が腐朽することがありますから油断は禁物です。
雨水が普通にかかる場所に設けた木製フェンスです。
濡れても、すぐに乾くから問題ないでしょ。
なんて軽く考えていましたが、現実はそう甘くないようですね。
恐るべし・・・。木材腐朽菌。
posted by Asset Red
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