間違った使い方していませんか?

昨日見学した熊谷の建物は、熱放射を上手に利用した家でした。

熱伝導には3つあります。

伝導

対流

放射

実際の住宅における熱の移動はどのような割合で行われているのでしょうか?

断熱材は空気を閉じ込め、伝導と対流による熱伝導を抑える効果があります。

でも伝導と対流の熱伝導全体に占める割合は30~40%に過ぎません。

残りの60~70%の熱移動は放射によるものなんです。

真夏の駐車中、フロントガラスにアルミの遮熱シートを被せている人を見掛けませんか?

クーラーボックスなどでも、アルミ蒸着シートが使われています。

遮熱シートって、意外と身近で使われていたりします。

多くの金属膜が遮熱効果を持っていますが、何と言っても使いやすいのはアルミニウムでしょう。

でも、金属って熱伝導率が高いんですよね。

接触していれば、熱は簡単に伝わってしまいます。

つまり、せっかく遮熱シートを利用して放射熱を防いでも、シートがどこかに接触していたら伝導で熱は伝わってしまうと言う事。

こんな実験結果があります。

酒井化学工業㈱のラミパックSDという遮熱シートを使った実験です。

赤外線ランプを30分間照射します。

試験体は、A・B・C・Dの4つ。

外壁に見立てた段ボールと、厚さ50mmのグラスウールは全て同じです。

厚さ4mmのラミパックSDと通気層の位置による熱伝導の違いを、グラスウール手前に設置したセンサーで測っています。

Aは、一般的な施工方法です。

外壁と遮熱シートの間に通気層を設け、シートを断熱材もしくはその上に張られた合板に密着させています。

Bは、Aの通気層と遮熱シートの位置を逆にしました。

Cは、遮熱シートの裏表に通気層を設けています。

そしてDは、外壁・遮熱シート・断熱材が密着しています。

照射後、45分の結果はこうなりました。

D>B>A>C

Cが有利でDが不利なのはわかりますが、AとBで差があるのが不思議ですね。

外壁に接触しているため、熱伝導で熱くなり、シート自体が放射することでセンサーに熱が伝わるのでしょうか?

シートと外壁の間に通気層があれば、反射した熱は通気層を通じて排熱され、熱伝導が少なくなるんでしょうね。

仕組みもわからず行っている遮熱通気層施工ですが、理に適っているんですね。

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