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近頃話題の環境問題と言えば、石油や石炭のような化石エネルギーを使うことで大気中の二酸化炭素が増え、結果として地球が温暖化することでしょうか。
これに関連して、二酸化炭素を吸収する森林の役割が大きくクローズアップされてきました。
森林はどの位の二酸化炭素を吸収し、どのような炭素を木質内に固定していると思いますか?
樹木が生長の過程で、計算上1tonの木質をつくるのに1.6tonの二酸化炭素を取り入れ、同時に1.2tonの酸素を放出するそうです。
化石燃料を使う事で大気中の二酸化炭素が増え続けている現在では、森林のこうした作用が重要視されるのは当然だと思います。
でも自然のままの森林では木が生長している一方で枯れている木もあります。
木は枯れると木質は微生物の力によって分解され、酸素を取り込み再び二酸化炭素となって大気中に戻ります。
人手が全く入っていない原生林が長期に渡り全体として安定した姿を示しているということは、生産される木質量と分解する木質量が同じことを示します。
言い換えれば、木の生長によって吸収する二酸化炭素量と枯れた木の分解によって吐き出される二酸化炭素量は同じであり、『天然の成熟した森林には大気中の二酸化炭素を酸素に変える作用はない』ことを示している訳です。
森の木は、人が木材として使って初めて炭素を固定することになります。
森の中で木が枯れたり腐ったりする前に、生態系を維持しながら、森林の生長量に見合う程度の木材を森林から持ち出し、材料として利用することが必要です。
こうした木材も最終的には腐ったり、燃料として利用され、二酸化炭素に戻ります。
その間が長くなれば長くなるほど有効に活用出来る訳です。
ところで人が呼吸で出す二酸化炭素を酸素に変えるにはどれだけの樹木が必要でしょうか。
木の種類・樹齢・生育する場所・季節によって違いますが、例えば以下の条件のスギの木の場合で求めてみましょう。
もっとも生長の盛んな30年生の直径25cm×高さ約20mの場合です。
この木が1年間に取り込む二酸化炭素量は20~35㎏。そして15~26㎏の酸素を作り出します。
これを1ヘクタールの森で積算すると、25~45tonの二酸化炭素を取り込み20~35tonの酸素を生成したことになります。
でも実際には、日本の森林全体で1年に1ヘクタール当たり15~30tonの二酸化炭素を吸収し11~23tonの酸素を放出するにとどまっているそうです。
一方、普通の生活をしている人は呼吸することによって1年に280㎏の新しい酸素を必要とし、370㎏の二酸化炭素を吐き出します。
つまり1人の人の呼吸を賄うためには、上記のスギで10~20本が必要になる訳です。
ちなみに日本の森林全体でみると、1ヘクタール当たり40~80人分の酸素が供給できるそうですよ。
森林を維持するだけで地球温暖化に寄与する訳ではありません。
しっかりと管理をして、適時材木に加工し、長持ち住宅に利用する。
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