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朝から固い話です・・・。
温故知新
住宅の次世代省エネルギー基準と指針』
財団法人 住宅・建築省エネルギー機構 刊
いわゆる『H11年基準』といわれる省エネ基準について書かれた書籍です。
この中から、『気密』について書かれた部分を改めてご紹介したいと思います。
43頁にある
2.4 気密化の効用と計画換気の必要性
を全文抜粋させていただきます。
本基準では、『閉じる技術』の一部として気密化を全国的に要求し、気密性を表す指標である相当隙間面積(以下、C値ということがある)に対してⅠ・Ⅱ地域で2㎠/㎡以下、Ⅲ地域以南で5㎠/㎡以下の基準を設けている。(ただし、日射利用住宅においては緩和規定がある。)
気密化は平成4年の基準ではⅠ地域に対してのみ義務付けされていたが、今回の基準ではそれが全国に拡大されたわけである。
また、この気密化に伴って『換気計画』も全国的に導入されるようになった。
本州以南においては、これら気密化と計画換気という2つの手法は、断熱化がかなり常識化しているのに比べれば、新しい馴染みの薄い手法である。
そこで、この2つの手法に関して少し解説を加えたい。
気密かはすきま風を減少させ暖房の効果を高めるということは理解されているようであるが、気密化すれば逆に自然換気が減るので室内の空気が汚れる、あるいは機械換気が必要になるのでエネルギー消費がかえって増大すると考えている人が結構多い。
また壁を気密にすると軸組の木材を腐らせるとか、気密化というのは欧米で生まれた技術だから日本に合わないとか、検証もせずに『気密化』という語感から来るイメージだけで観念的に反発している人も多い。
しかし、気密化といっても程度問題であり、完全密閉を要求しているわけではなく、必要な程度の気密化を要求しているのである。
気密化の効果や必要性は4つに大別できる。(図2.7参照)
1つは、室内に直接侵入する隙間風を防止し暖房負荷を削減することである。
この効果は特に外気温が低下する暖房に置いてよく知られており、誰もがその効果を認めるところである。
また冷房時にも高湿の外気の侵入を抑えるので、潜熱負荷を削減する効果があるが、この事は案外知られていない。
2つ目は断熱材による断熱効果や保温効果を補完することである。
つまり、断熱材は気密化とセットになって初めて十分な断熱効果が保証されるのである。
断熱材は断熱材の室内側や断熱材の内部に外気が侵入する構造になっていては、(多くは断熱材の施工不良が原因で外気が侵入する)いくら厚くしても断熱効果は発揮されない。
気密かはそのような事を防止するためにも必要なのである。
であるから、机上計算で予想される断熱材の効果を現実の建物においても発揮するには、然るべき気密性が付随していなければならない。
断熱は静止した空気の断熱力を利用して行うものであるから、断熱する場合には断熱材の周囲で空気が動かないこと、つまり気密であることが必要不可欠であるともいう事ができよう。
3つ目は繊維系断熱材を使用した場合に、断熱材の室内側で気密化を行えば、それが防湿の役割も果たすという、防湿効果である。
そして4つ目が先に述べる『計画換気』を実施するための条件としての必要性である。
今回の基準では、2つ目と3つ目の効果を重視して、全国的に気密性の基準値が設けられた。
つまり、断熱性の保温効果と壁体内部の防露性を担保するものとして、相当隙間面積の基準が設けられたものである。
であるから、この基準は年間暖冷房負荷の基準やQ値・μ値の基準とは独立している。
今回の基準ではC値の基準はQ値とμ値とは無関係に適用されるのである。(ただし前述の緩和規定が適合される場合はこの限りではない)
もし、これが1つ目の効果だけを狙ったものであれば、熱負荷を削減するという意味においては、断熱化と気密化は程度の差はあれ同等の意味を持つ事になるので、両者は独立した関係にはならず、C値の基準は熱負荷関係の基準から独立することにはならない。
次回は、引き続き
2.4.2 計画換気の必要性を全文抜粋させて戴きます。
この分章を改めて読んでみて感じた想いについても、次回以降に書くつもりです。
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