SWS試験

今日の練馬・板橋は、気持ち良い青空。

湿度も少なく爽やかで、日向は汗ばむくらいでも日陰は涼しく絶好の作業日です。

風が吹けば、あまりの気持ち良さに手が止まってしまうくらい・・・。

作業を日陰で確認していると、まるで天国のようでした。

『FPの家 K邸』

朝から地盤調査を行いました。

現在、一般的に行われているのが『スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)』です。

以下に、その概要を示します。(従来の手作業の場合です。)

手作業の場合は、2名の作業員が試験に臨みます。

①こんなロッドを使います。

ロッドを測点に立て、先端のスクリューポイントを地面に当てます。

②このロッドに0.25KNの重りを4回に分けて載せます。

この時、沈まない事を確認しながら、0.25KN・0.50KN・0.75KN・1.00KNの4段階に分けて重りを載せます。

1.00KNはおよそ100㎏に相当します。

③1.00KNの重りを載せても沈まない場合は、そのまま、さらにハンドルにて回転を加えて貫入します。

硬い地盤の場合は回転数が多くなり、軟らかい地盤の場合は回転数が少なくなります。

また軟弱地盤の場合、重りを載せただけでロッド先端から沈むこともあり、その場合は回転数0になります。

③④データーは25cm(0.25m)ごとに記録していきます。

⑤この25cmの貫入に費やした半回転数を1.00mに換算して指標とします。・・・Nsw

⑥⑦貫入時の音感や感触、貫入状態およびこれから推測される土質名を示します。

 音感・感触・・・

 ガリガリ・・・角礫系が主体

 ジャリジャリ・・・礫質土が主体

 シャリシャリ・・・砂質土が主体

 無音・・・粘性土が主体

 貫入状況

 ストン・・・早い自沈の場合

 スルスル・・・ストンとジンワリの中間的速さ

 ジンワリ・・・スルスルとユックリの中間的速さ

 ユックリ・・・ゆっくりな自沈の場合

 打撃・・・重さを最大にしつつ回転を加えても貫入が不可能で、上部より打撃を加えること

 貫入不可・・・打撃等を加えても貫入しない状況

 自沈含む・・・25cm間で回転層が主体であるか、自沈を含む場合

⑧⑨荷重と回転数から地盤強度の目安が計算されます。

 換算N値(稲田式)・・・

 粘性土の場合、Nc=3.0Wsw+0.05Nsw

 砂質土の場合、Nc=2.0Wsw+0.067Nsw

 許容支持力(国交省告示1113号三式)・・・

 qa=30+0.6Nsw(自沈の場合は評価できない)

なお、調査データーは上記のようなグラフとして作成されます。

ここまで、手作業の場合のSWS試験の方法を書いてきました。

でも最近は機械による試験が増えているようで、弊社の場合も100%この方式を採用しています。

よって以下、本日のSWS試験の様子をご紹介します。

こんなワッボックスカーに試験機を積んで現場に到着しました。

作業員は2名です。

いつもは1名で行うことが多いのですが、今回は修行中の見習い作業員が同行していた模様です。

電気が引き込まれていない為、発電機を利用して電力を得ています。

ジオカルテⅢという試験機を使っていました。

上から順に操作部、稼働部そして、データーを表示するパソコンです。

道路にあるピンの頭を仮BMとし

 

敷地中央に設置したオートレベルで高さを計測します。

次に合計5か所の測点の高さを計測。

赤いスプレーの真ん中の小さな穴が測点です。

建物の四隅+中央の5か所が基本となっていて、場合により測点を増やす場合もあります。

オートレベルは機械から水平にレーザー光線を放射します。

これを目盛のついて棒に当てた受光器で受ければ、同じ高さがわかるようになっていて、その時の目盛を控えて差引すれば仮BMとの高低差がわかるんです。

この高さを元に地盤面からの高さを設定したら、いよいよSWS試験開始です。

 

器械を設置し

測点に合わせます。

スクリューポイントのついたロッドをセットし

計測を開始します。

あとは、機械の手順に従い粛々と作業を進めれば完了です。

地表から80cmくらいの深さまでは、0.75~1.00KNの自沈層が見られます。

以降回転層が続き、6.8m付近で貫入不可となりました。

機械を移動し、刺さったロッドを抜きます。

抜いた測点には穴がぽっかり。

この穴が6.8m下まで続いている訳です。

2か所ほど、表層から80cmの間の数値が良くないところがありました。

そこで測点を2か所追加し、計測を行いました。

今回の敷地は台地に当たります。

本来であれば、地盤補強の必要はありません。

でも解体工事により表層を掻き回している為、耐力が出ない場合もあります。

作業員とも話をしましたが、この80cmの層をどう評価するかで地盤補強の有無が決まりそうです。

今回のデーターを持ち帰り、試験データーと考察等の書かれた地盤調査報告書が手元に届く明日を待つしかありません。

おそらく大丈夫だとは思うんですが・・・。

手作業と異なり、機械式の場合は作業員が1名でOKです。

なにより、重りの上げ下げやロッドを回転する手間がありません。

作業の度に計測値を記入する手間も不要。

作業時間は同じ位でしょうか。

料金も変わりありません。

経験豊富な人間が音や手触りを元に補正しているのに対して、機械の方はスクリューポイントを付けたロッドのトルク値を元に決定しています。

どちらがより正しいのか?

作業員の経験値にもよるんでしょうね。

経験豊富なベテランよりは劣るけど、経験不足の新人よりは遥かに正確というところなんでしょうね。

もちろん、機械の定期的メンテナンスがキチンとされている前提での話ですけど・・・。

私も若い頃に、随分と手動式SWS試験を行いました。

分譲地で1日に25ポイントほどやった事もありましたよ。

暑い夏の出来事でした・・・。

キツカッター。

もう2度とやりたくありません。

刺さったロッドを抜くのがまた、面倒なんですよね。

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