乾式タイルの家

先日、弊社商圏内の方よりメールを戴きました。

どうやらホームページを見て戴けたようです。(弊社のOBではありません。)

外壁タイルの補修工事の依頼でした。

早速住所を確認し、状況を確認。

御見積書を提出し、修理をする事に・・・。

本当は昨日工事をする予定だったんです。

でも、台風の翌日です。

朝方は雨も残っていたし、風も強い。

作業は安全に行いたいですよね。

事情を説明し、今日に変更させていただきました。

現場は木造2階建ての屋根の上、小屋裏部分の壁になります。

東日本大震災の時に、タイルが割れて落ちてしまったそうです。

写真の窓下、換気扇フード側になります。

ベースサイディングが割れています。

タイルも割れ目に沿って割れているようですね。

ひびの入ったタイルを外し、ベースサイディングの割れ目をシール処理しました。

タイルに専用接着剤を塗布し、張りつけます。

目地を詰めて、修理完了です。

外壁の仕様を決める際の選択肢は色々あります。

サイディング・モルタル吹付・ガルバ・タイル・木の板等々。

デザインや好みで選ぶ事になりますが、コストも重要ですよね。

コストには初期コストとメンテナンスコストの2つがあります。

初期コストは安いけど長持ちしない材料だったり、反対に初期コストは高いけど長持ちする材料もあります。

お財布と相談しながら、それらを良く吟味しないとなりません。

例えばタイル仕上げの外壁は、初期コストは高いもののメンテナンスコストのかからないというイメージがありますよね。

でも『湿式タイル』は、下地の状況によって目地やタイルそのものに亀裂が生じたり、剥がれて落下する場合があります。

湿式タイルとは、下地の上にモルタルを塗り、その上に裏面に凹凸の少ないタイルを張る工法です。

目地のあるタイプや無いタイプがあります。

タイル貼りの外壁と言えば、昔はみんなコレでした。

また『乾式タイル』も、その固定方法によってタイルが落下する場合があります。

乾式タイルとは、下地にモルタルを塗らず、ここに金属や窯業系の下地を貼ります。

そこに裏側に足のついてタイルを引っ掛け、固定する工法です。

湿式と同様に目地のあるタイプや無いタイプがあります。

確かにタイルは陶器ですから、30年程度のサイクルでは色あせ・汚れ等も殆どないでしょう。

でもその下地は、湿式・乾式を問わず雨水を受けるようになっています。

雨水は目地の部分から侵入する訳です。

湿式であれば、モルタルが雨水の侵入を防ぎます。

乾式であれば、雨水を受けるのが金物下地であったり窯業系下地であったり・・・。

金物下地の場合、防錆に限界があります。

また窯業系下地の場合、雨水でベースサイディングとタイルが剥離することもあり得ます。

今回の場合は、地震の揺れでベースサイディングに割れが発生し、その割れがタイルに影響を与える結果になりました。

「タイルの外壁って、メンテナンスフリーって訳でもないんだ・・・。」

考えてみれば当たり前なのに、なんとなくそう思っている自分を再確認できました。

周りのタイルを見てみると、目地のあちこちに細かいクラックが入っています。

中には、タイルと目地の間に隙間がある箇所も・・・。

また目地が白くなっている部分も多々あります。

そろそろ、目地の打ち替えをした方がいいのかもしれませんね。

足場を掛け、目地を撤去し、新しい目地を入れます。

その後、タイル表面についた目地剤を酸で洗い、水で洗い流します。

塗り替えと比べて、それほど安く上がるとも思えないんですよね。

でも目地の傷みを放っておけば、タイルの剥落に繋がります。

冬場、細い隙間に侵入した水は凍って体積を増大させます。

この時、目地剤やベースサイディングの割れは大きく拡がることになります。

こんな事が続けば、ベースまで傷めてしまうかも知れません。

タイルと言えども定期的なメンテナンスは不可欠です。

やっぱりメンテナンスフリーの外壁なんて有りませんよね。

今回の建物では、サイディングの破風板を塗装で仕上げていました。

当然、破風板の塗装も定期的に塗り直さなければなりません。

屋根のコロニアルも同様です。

既にそれらの塗り替えは終わっています。

塗り替え時には、足場も架けたでしょう。

その時に一緒に目地の打ち替えをすれば良かったのに・・・。

塗装業者は何のアドバイスもしなかったのでしょうか?

この建物を建てた工務店にも、言いたいことがあります。

せっかくタイルの外壁にするのであれば、他の仕上げ材も手入れの少ないものを選ぶべきだと思いますよ。

その度に足場架けていたら、高くついてしまいます。

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