セルロースとリグニン

木の秘密について書かれたものをご紹介します。

熱い飲み物でも、発泡スチロール製のコップに入れると持つのに熱くなく、また飲み物も冷めにくいということを、私たちは日常の体験で何度なく味わっています。

これは発泡スチロールが多孔質であるためです。

孔がたくさんあれば、つまり空間が多くあれば熱は伝わりにくくなり、かつ軽く、そして強く断熱性に優れるなどの特徴を持ちます。

発泡スチロールを調べると「発泡スチロールは1950年にドイツで開発され、日本では1959年より国産化され」「白くて軽いのが特徴で、石油からつくられたポリスチレン(PS)を小さな粒状にした原料ビーズを約50倍に発泡させてつくるため、製品体積の約98%が空気で、原料はわずか2%の省資源な素材です。」(発泡スチロール協会)

「多孔質で木材に性質がよく似ている。」と記している辞書などもあります。

木はコア構造(箱状)の細胞が多数集まってできており、その一つひとつが細胞内に空気や湿気をためて、外からの力にバランスよく抵抗しています。

これが木の大きな特徴の一つです。

またその細胞壁は、幾つかの層から成り立っており、各層は「セルロース」の糸が網目をつくり、しかもその状態が異なることで強い構造を支えています。

つまり無数の細胞が交互に組み合わさって、それが「リグニン」というもので固められている構造になっているのです。

ある論文は、これを「鉄筋コンクリートにたとえれば、セルロースが鉄筋の役割を持ち、リグニンがそれらの間を埋めるセメントの働きをしている。」と記しています。

このように、木の強さの秘訣はその細胞にあり、細胞の積層構造は、薄い板を繊維方向を変えて重ね合わせるとその強度は格段に大きくなるという、合板にも通じるところがあります。

木は、この無数の細胞からパイプのように栄養分や水分を運んでいるのです。

セルロースは「繊維素」とも言い、自然界に最も多く存在する有機化合物であり、植物中では二酸化炭素と水から光合成によってつくられているものです。

大きさ数ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の細い繊維が束になった構造をしていて、その強度は防弾チョッキに使われるアラミド繊維と同じです。

半分の重さでもアルミ合金と同等の強度があるともされています。

木造建築の化学

高橋俊介・藤井恵介 監修

高層建築研究会 編著

日刊工業新聞 刊

より引用させていただきました。

唯一セルロースを養分とし、生きるために活用しているのがシロアリです。

枯れてしまった木は、シロアリや木材腐朽菌がいなければいつまでも残ったままとなり、新しい木や草の生育の妨げになってしまいます。

元気な木がシロアリの食害を防ぐために、その中にもつ成分がリグニンという訳です。

自然て、本当に良く出来ていると思いませんか?

木に似ていると書かれた発泡スチロールですが、シロアリを防ぐ為には薬剤もしくはホウ酸を混入しなければなりません。

人間が作ったものは、やはり自然がつくったものに敵わないですね。

そうそう、植物の中には微量のホウ酸が存在するそうですよ。

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