ヒートショック

健康に暮らすための住まい住まい方 エビデンス集

技報堂出版 刊

健康維持増進住宅研究委員会/健康維持増進住宅研究コンソーシアム 編著

編集協力 一般社団法人 日本サスティナブル建築協会

という書籍を購入しました。

定価2800円+税

少し高いけど、中々良い本だと思います。

機会があれば、皆さんも是非ご一読ください。

今回は、本文中にあるヒートショックに関する記事を一部抜粋させていただきます。

『ヒートショック』とは、一般に寒冷や著しい温度差により大きな血圧変動が生じ、身体に大きな負担がかかった状態を指します。

家庭内では、裸となり熱い湯に入る『冬季の入浴中』に起きやすい傾向にあります。

上図に冬季入浴に伴う高齢者の血圧変動模擬図を示しました。

脱衣室や浴室は暖房されることが少ないため、暖かい居間から、裸になり寒さに晒されると血圧が急上昇します。

その上、熱い湯に浸かると血圧は驚愕反射により再上昇し、脳出血を発症しかねません。

さらには、冬季の風呂は熱い湯が好まれ、肩までお湯に浸かることが多いので、温熱効果による皮膚血管拡張により、心臓への血液還流が減少し血圧が逆に急速に低下します。

体が温まると発汗により脱水が生じ、血液粘度が増し、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。

また浴槽から出るために急に立ち上がると、起立性低血圧により失神することがあります。

循環機能が低下し、血圧調節能力が劣る高齢者では、こうした失神に繋がる症状が発症しやすくなります。

住宅の他の場所と違い、浴槽には湯があるので、気分が悪くなって失神し湯中に没すると数分で死に至ります。

2010年度における家庭内の不慮の事故数を示します。

総数14249名で、その内65歳以上の高齢者が11429名。80%を占めています。

欧米では家庭内の事故死因の1位が『転倒・転落』であるのに対し、我が国の家庭内事故死因の1位は『溺死(溺水)』で、次いで『窒息』。

『溺死』というと、かなり以前は海水浴やプールでの夏の事故でしたが、最近では『浴槽の中』の死亡者が多く(62.5%)なっています。

年代別では、とくに高齢者が多く(89%)、しかも冬季に集中しています(12~2月で50%)。

入浴中の事故の原因を調べた東京都監察医務院によれば、入浴中の『溺死』だけでなく、脳血管疾患等の病死により死亡した人数を含めると、入浴死は全国で推定14000人にも達するとされています。

また山形県庄内保健所管内の救急搬送事例から推定された数は、年間18000人にも達しています。

高齢者の入浴死は、世界中でも多発しているのでしょうか?

WHO(世界保健機関)の調査によれば、75歳以上の高齢者の溺死(多くが入浴死)率は、アメリカや欧州と比較し、日本は10倍以上の高率となっています。

すなわち、高齢者に冬季入浴死が多いことは、日本だけに認められる特徴と思われます。

医療に関する記事なので難しい言葉が多いですが、エビデンスを元にした様々な情報が掲載されています。

明日も、この続きをご紹介したいと思います。

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