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パラペットやバルコニーはトラブル多発箇所なんだそうです。
新築住宅瑕疵保険の雨漏り事故物件を対象に、雨水侵入箇所を調べ、発生割合の多い順に並べたのが次の円グラフです。
家全体に占める『陸屋根およびバルコニー』からの漏水は22.1%。
その内訳の中でダントツの一番は『笠木廻り』の50.1%です。
その部分の参考納まりとして、住宅金融支援機構の『木造住宅工事仕様書』に示されているのが次のイラストです。
パラペットの天端に防水紙を2枚重ね、その上に鞍掛けシートを被せます。
その上に防水テープを貼り、笠木用の固定金具を留め付け、最後にアルミ笠木を載せて施工完了。
調査報告書をまとめたJIOの担当者は次のように言っています。
「笠木の下の天端は水平なので、侵入した雨水が溜まりやすい。」
「溜まった雨水は下地の木材や胴縁などに徐々に浸透し、腐朽を招く恐れがあります。」
「この点が、傾斜のある屋根とは違うので注意しなければなりません。」
「日射の影響も無視できません。金属製の笠木は日射の影響でかなりの高温になります。」
「その熱はパラペット内部にも伝わり、透湿防水シートの劣化を早めます。」
では、どのような納まりが良いのでしょうか?
2015年9月に日本建築学会で発表された、住友林業技術商品開発部の梅田泰成次長ら5人の研究グループが行った実験をご紹介します。
研究チームが用意した納まりは上図の5種類。
住宅金融支援機構の参考図は、タイプDに当たります。
実験方法は以下の通り。
45度の傾斜をつけた全長1.5mの試験体を用意。
下地材のスギ板に防水シートなどを被せ、その上に水を流す。
製材には笠木の固定金具を141mm間隔で10個設置。
水を20分間流した後、固定金具のビス周りに漏水が無いか確認。
それぞれの止水性能を調べてみると、結果は上図のようになりました。
図中、青い部分が漏水のあった箇所となります。
タイプDでは、9割以上のビスで漏水が起きていました。
逆に、最も止水性が高かったのはタイプEです。
これは、下地木材の上に両面防水テープを貼り、上部には鞍掛けフェルトを貼ったでけのシンプルな納まりです。
こんな簡単な納まりが一番危険の少ない納まりだったとは・・・。
弊社の納まりはタイプCに近いですね。
この納まりは2番目に漏水が少なくなっていました。(良かった・・・。)
でも、問題ですよね。
こうした重要な研究を知ることもなく、危険な納まりが続けられている。
住宅金融支援機構の参考納まりと言えば、いわばお手本です。
多くの方が、これを真似て施工しています。
被害は今後、増えるでしょうね。
弊社の納まりも是正しなければなりません。
日射の影響も配慮する必要だってあります。
幸いなことに、最近は笠木部分の漏水に対応した部材も発売されています。
こうした製品をしっかりと検討し、漏水のない納まりにしなければ・・・。
ついでに、積年の課題である、バルコニー床内部の換気対策も解決できればいいなぁー。
まずは日本住環境の笠木天端スペーサーの納まりをチェックします。
標準納まり図面も直さないとなぁー。
posted by Asset Red
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