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昨日、東京ビッグサイト会場内で開催されたセミナーに参加してきました。
演題は『換気システムのメンテナンスとエネルギー』
講師は高知工科大学 システム工学群/准教授 田島昌樹氏でした。
以前からお話を聴いてみたかったんです。
先生曰く、今回の対象は設計者・施工者およびマニアックな利用者との事。
そんなマニアックな居住者いないでしょ?
と突っ込みたくなりました。
さて、本題です。
換気設備計画を検討する際には、次のようなステップに従う必要があります。
ステップ1/選択する換気システムの検討
①住まい方・住宅の計画・気密性および暖房/冷房方式の確認
②換気システムの種類と換気経路の検討
③熱交換器の有無に関する検討
④温度差利用型のハイブリッド換気採用の検討
ステップ2/換気システムの配置計画
①日常の清掃に留意した屋外および室内端末部材の配置の検討
②日常のメンテナンスに留意した換気システム本体の設置位置の検討
③住宅の構造に留意したダクト配置の検討
④換気経路の再確認
ステップ3/省エネルギーに配慮した換気システムの能力確認
①設計風量の確認
②機外圧力の低減に関する検討と機外圧力の計算
③消費電力を考慮したエネルギー効率の高いファン選定と検討
④風量切り替えスイッチの設定・確認
ステップ4/施工後に実施する事項の確認
①維持管理が可能かどうかの確認
②風量測定の実施
③風量調整の実施・検討
以上、『自立循環型住宅への設計ガイドライン』より抜粋しました。
この本の作成にも先生は参加しているそうです。(知りませんでした・・・。)
ピンクで書かれた部分が、今回のセミナーのツボに当たるそうです。
住宅の換気風量を測定する為の機器は色々あります。
安価なものから高価なもの。
正確な風量が測れるものから、そうでもないもの。
操作が簡単なものから、難しいもの。
(測定者の熟練度合により、測定結果に差異があるらしい・・・。)
弊社では、全棟換気風量の測定を行い、風量調整により設計通りの換気風量を実現しています。
ですから、当然風量計を持っています。
弊社が使っている『フード付風量計』は、比較的高価で、正確。但し測定者の熟練度合により測定結果に差異があるタイプのようです。
また『ピトー管式風量計』の方は、安価で正確。熟練度合による差異もないタイプでした。
研究者が使う風量計の中には、1500万円もするようなものもあるそうです。
ベンツと変わりありません。凄い・・・。
換気扇は定期的に清掃を行わなければなりません。
例えばパイプファンの場合、清掃前と清掃後の排気風量差は82㎥/hにもなります。
次の写真は、2年間清掃をしていなかった住宅用換気扇を撮ったもの。
清掃前と清掃後の風量差は29.2㎥/h、比消費電力差は0.06W/(㎥/h)となります。
比消費電力とは、1㎥の空気を搬送するのに必要な消費電力(W)を表します。小さい方がお得です。
ダクト方式の方が壁付け式よりも、汚れによる風量低減は少ないようですね。
換気方式による違いもあるようです。
第1種換気方式と第3種換気方式の、清掃による換気風量と消費電力の変化を比較したデーターをご覧ください。
どうやら、後者の方が清掃による室内環境の劣化が少なく、消費電力も少ないようですね。
弊社が、第3種をお勧めする理由のひとつを先生がアピールしてくれました。(良かった・・・。)
まめに清掃すれば、換気風量も本来の計画通りに行われ、健康被害を招くこともありません。
そして、消費電力も少なくなり、お財布にも優しい・・・。
逆を言えば、清掃を怠れば本来の換気が行われず、健康被害の元になります。
消費電力も多くなり、お財布の中が寂しくなる・・・。
わかっちゃいるけど、面倒くさいですよね。
先生は、最後のまとめとして、こう仰っていました。
シンプルなシステムほどアドバンテージがある。
第1種よりも第3種
壁付け式よりもダクト式
機械式よりもパッシブ換気
えっ!パッシブ換気?
最後に、そんな事言うなんて・・・。
でもパッシプ換気については、何の言及もありませんでした。
設計・施工がかなり難しいんですよね。
しかも、室内外の温度差が大きい時期にしか有効ではありません。
建物全体を送風室として利用する方式です。
只今、勉強中というところでしょうか。
隣のブースでは、福島先生がこのテーマで講演をしていました。
お二方は仲が良いそうですから、事前に打ち合わせをしていたのかもしれませんね。
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