住宅構法の変遷と空調への依存

技術堂出版 刊

住まいと環境 東北フォーラム 編

住まい環境

プロフェッショナルからの提言

から、一部を抜粋してご紹介します。

夏季に蒸し暑くなる我が国では、涼しく住まうための家づくりの基本は、日射遮蔽と通風確保であると言えます。

かつて吉田兼好が「家の作りやうは夏をむねとすべし」(徒然草第55段)と述べたように、伝統的民家には深い軒や開放的な間取りを構成する間仕切り・床下・小屋裏があり、空調機器を用いなくてもそれなりに涼しく住まうことができました。

現代の住宅では「冬もむねとする」ことが求められますので、壁・床・屋根・開口部といった外皮全体の高断熱化と必要な換気を効率よく行うための高気密化が普及し、「家の作りやう」は伝統的構法から一変しました。

そのはじまりは、高度盛長期の1960年代後半からのアルミサッシの普及で、住宅から隙間風がなくなっていきました。

また、ほぼ同時に開放型暖房器が普及すると結露被害が多発し、対策としてグラスウールなどの断熱材が全国的に使われるようになりました。

1970年代、石油危機を迎えたことにより省エネ基準が定められ、住宅の断熱性への意識が高まりました。

気密性が評価指標として整備されてきたのは1980年代に入ってからです。

ここまでの変遷は暖房エネルギー消費の削減のみを目指したものでしたが、1990年代末の次世代省エネ基準以降、冷房の負荷削減にも断熱気密化で対応しようという発想が一般に広まったように見受けられます。

2002年度~2003年度にかけて全国数千世帯の住宅を対象に実施されたアンケート調査では、戸建住宅の暖房期間が集合住宅よりも長く、冬が明けて暖房使用率が0%に達した途端に冷房期間が始まる様子が、北海道と沖縄を除いたすべての地域について見られました。

住宅の暖冷房に限らず食卓のメニューや衣服のファッションも当てはまりそうですが、中間季や季節感が現代人の生活スタイルからなくなりつつあると言えます。

一定水準の快適性を保証し、冬季の血圧変動や夏季の熱中症など健康上の不安を回避するためには、現在はこのようにするしかないかも知れません。

しかしこれからは、地域環境・エネルギー・人体生理などさまざまな観点から、屋外と全く無関係に室内の環境調整する考え方を見直し、建物外部空間の地形や植物・建物などの人工物といった地表面の条件によって、それらの周辺に生じる上空大気と異なった特有の気象やその周辺の地域環境との連関を意識しながら住まうことを目指さなければなりません。

その手段の一つとして、窓からの換気・通風は大きな役割を果たします。

次回は、引き続き『窓開閉行為の影響要因』についてご紹介したいと思います。

 

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