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昨日に引き続き
技術堂出版 刊
住まいと環境 東北フォーラム 編
住まいと人と環境
プロフェッショナルからの提言
から、一部を抜粋してご紹介します。
窓を開放するのは、室内の空気汚染物質や湿気・熱気の排除ほか、通風により涼感を得たり気分転換したりといったような直接的な動機がある場合と、生活習慣に連動して特定の時間帯や行為に伴う場合であることが知られています。
これを全国の戸建住宅で調査し、具体的にどういった関係性があるのかを確かめてみました。
上図は室温と窓解放時間(窓を開放している時間の割合)の関係について検討した結果の一例です。
全体的な傾向として、窓解放時間は室温の上昇とともに増加しますが、その度合いは特定の室温付近で大きくなり、その前後で小さくなっています。
すなわち室温に対する窓解放時間は、室温が低い時に常に閉鎖(0分/時)、高い時に常に解放(60分/時)となるS字を描くように分布する関係にあると考えられます。
そこてここでは正規分布(自然現象や社会現象に多くみられるばらつき)の累積分布曲線(分布する数値の一方から順に足し合わせて得られる分布を線グラフで表した物)を当て嵌めてみます。
mは正規分布の平均(窓解放と閉鎖の時間割合が半々(30分/時)の時に対応する室温)、δは標準偏差(窓開放と閉鎖の時間割合が半々の時からプラスマイナス20分/時変化するまでの室温変化量)です。
平均mは小さい程、窓解放に積極的と言えます。
標準偏差δは小さい程、室温変化に対する窓解放が敏感と言えます。
調査対象すべての平均mと標準偏差δの散布図を下図に示します。
図の点線中は全て居間ですが、1件だけ平均が31℃である以外は、平均が26~28℃、標準偏差が2.5~5.2℃といった狭い範囲に分布しています。
つまり、居間のように居住者の滞在時間が長い室は、窓開閉行為の特性が似かよっており、地域や住宅、居住者の属性などの影響が現れにくいと考えられています。
一方、それ以外の室については、地域差が現れています。
大まかに、北海道・東北・関東では平均が小さく、関西・四国では平均・標準偏差ともに大きくなっています。
このことから、関東よりも北の地域では、居間より室温が低めであっても窓解放がなされ、また室温変化に沿って窓解放行為が行われたことがわかります。
関西・四国では、室温が高めの時冷房を使用するため窓解放から閉鎖に切り替えていると見られます。
この他にも窓を閉鎖する要因は、居住者の在宅時間や防犯・プライバシーに対する意識、掃除や調理と関係の深い窓解放習慣、屋外の空気・音環境や自然環境(虫や鳥の多さ)、降水量、窓のデザイン、間取りと枚挙にいとまがありませんが、今後これらとの因果関係を明らかにし、積極的な窓解放を促す方法を提案していきたいと考えています、
次回は、引き続き『環境調整行動からみた住環境教育』についてご紹介したいと思います。
posted by Asset Red
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