注文の多い料理店

先日参加した『ebfitセミナー』で仕入れたネタをご紹介します。

こんなデーターがあるのを皆さんはご存知でしょうか?

内閣府経済社会総合研究所の『国民経済計算年次推計』によれば、平成27年の最終家計支出は

『住居・電気・ガス・水道』の項目総計で74兆3203億円になるそうです。

平成27年の日本の総世帯数は5201万5400世帯ですから、この年の1世帯当たりの『住居・電気・ガス・水道』に費やす費用は

142万2882円と言う事になります。

男性31歳

女性30歳

で結婚し、女性の平均寿命である87歳までの57年間、世帯を維持しようとすれば

142万2882円×57年=8110万4274円の費用が必要という事です。

(この数字は家を買わない世帯も含めての平均となっているそうです。)

家を買う際に、比較対象となる費用は『初期費用』と言われる住宅費用が一般的です。

2000万円と2700万円の家を比べ、建物面積や仕様の違いを判断しつつ、どっちが安いとか高いなんて比べてますよね。

でも、先程の8110万4274円という金額に比べたら、700万円の違いってどうなんでしょうか?

そう、運転費用の話です。

「どちらの家でも運転費用は変わらないでしょ。」

なんて事ありません。

2000万円の住宅は平成28年基準の省エネ住宅、そして2700万円の住宅は高断熱・高気密住宅だとしましょう。

仮に電気・ガス・水道の金額が年間で8万円違ったとすると、57年間で456万円もの差になります。

これって電気・水道・ガスの料金が全く上がらない時の計算です。

これらの値上がりを2~3倍と言う人もいるようですよ。だとすれば900万円以上の差になるかもしれません。

これが『燃費の良い住宅』を建てた際のメリットになります。

仮に700万円余計に払ったとしても、900万円光熱費が安ければ『お買い得』ですよね。

暖かい家は『健康に良い』とも言われています。その分の費用は1世帯当たり2.7万円位になるそうです。

57年間で153万9000円です。

結構な金額だと思いませんか?

建物の金額を比較するのであれば、運転費用も含めたトータル費用で比較することをお勧めします。

また、その時の根拠もしっかりと聞いておくべきだと思います。

暖房を入れない場合の室温(自然室温)が何℃になるのか?

室温を何℃に設定しているのか?

その温度は健康上問題ないのか?

自然室温が設定温度を下回る日がどの位あるのか?

それを暖めるのに必要な暖房費はどの位なのか?

これが、燃費計算です。

こうした問いに答えられないのであれば、単なる当てずっぽうかもしれません。


そうそう、トータルコストの話をすると『60年保証』の話をする建設会社があるかもしれません。

60年間も保証がついている住宅。

確かに凄いですよね。(60年後にその会社が残っている前提自体が凄いと思います。)

でも、ちょっと待ってください。

詳しく話を聞いてみないと、後で困ることになるかもしれません。

例えばトヨタホームの場合です。(特に悪意はありません。)

トヨタホーム自慢の60年長期保証ですが、残念ながら60年間ずっと無償ではありません。
トヨタホームの60年保証

 

でも2ヶ月、11ヶ月、23ヶ月、5年、10年、15年、20年、25年、35年、45年、55年の無償メンテナンス点検を受ける事が出来ます。

そして、その都度トヨタホームに指摘を受けた補修工事をトヨタホームの関連会社有償で行います。

(補修工事を行わなければ、保証は打ち切られます。)

さらに30年目の有料点検や10年ごとの有料の延長保証の更新をして60年保証となるのです。

決して60年間完全無料・無償ではありません。

それでも25年目まで無償でメンテナス点検を受けられるのはトヨタホームだけです。

(通常のハウスメーカーであれば、10年目から有償の点検が一般的だと思われます。)

トヨタホームの保証内容

各項目によって初期保証期間が異なります。

また、全ての項目が60年保証の対象ではありません。

シロアリ保証は保証延長をしても最長30年となっています。

これらの事を、事前にキチンと説明されていなければ・・・。

そして

仮に、施工を行う関連会社の工事費が一般的な施工会社よりも安価であれば問題ありません。

でも、もし割高であれば・・・。

他業者にお願いすれば保証は無くなってしまいます。

価格交渉に応じてくれれば良いのですが、競合他社のいない状況では・・・。

宮沢賢治の童話『注文の多い料理店』をご存知ですか?

もし知らない方は、一度読んでみることをお勧めします。

中々面白い話だと思います。

『注文の多い料理店商法』と呼ばれる売り方があるそうですね。

なるほど、言い得て妙だと思います。

例えば先程の60年保証です。

細かい説明を省いて60年保証を売りに契約を急ぐ建築会社があったとします。

これって一歩間違えれば

建築会社がお客様に60年間の住宅品質を保証するのではなく

お客様が建築会社に60年間お金を支払う保証をするしくみになりかねません。

つまり、自分に都合の良い解釈をさせて騙す商法かもしれないんです。

説明はしていないけど、契約書に付随する書類には小さい文字で書いてあるとか・・・。

そんな事がないように注意しましょう。

(もちろん、トヨタホームさんは問題ありません。

こうして、キチンと制度説明を公開していますから。)

でも、それをちゃんと確認しないといけません。

「そんなの聞いてなかった・・・。」

なんて通用しませんから。

 

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