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高知工科大学 システム工学群
田島昌樹准教授のお話をご紹介します。
このようなプランで以下の条件の下、換気システムの違いによる一次エネルギーをシュミレーションした結果をご覧ください。
東京・高知・那覇で比較しています。
UA値=0.46W/㎡・K
全館連続暖冷房(COP=3.0)
第一種熱交換換気システムが効果的に働くような設定になっているそうです。
さて結果は・・・。
東京の場合で比較してみましょう。
①春・夏・秋は第3種換気になる第1種熱交換換気
②第3種換気
③温度差換気(パッシブ換気)
④第1種換気
という順位でした。
でも、先生いわく「どんぐりの背比べ」。
大差ないそうです。
つまり、消費エネルギー上はどの換気方式を採用しても変わらないと言う事です。
尚上記消費量は、換気・冷房・暖房エネルギーの3つの合計金額となっています。
もちろん、第1種の場合の局所換気の消費も含まれています。
続いて、上図のような実験住宅における換気システムごとの清掃による換気風量と消費電力の違いをご覧ください。
全く清掃を行わない状況における、第1種と第3種の比較となります。
棒グラフはSFP(比消費電力)を示しています。
比消費電力とは空気を1.0㎥/h搬送するのに必要な消費電力です。値が小さいほど省エネになります。
そして濃い青線グラフは換気風量の推移です。
また、水色の線グラフは有効換気風量となります。
有効換気風量とは、給気ダクトや給気フィルターが汚れることで、導入された外気が必ずしも新鮮ではないため、新鮮な空気の風量のみを示したものとなります。
3種の場合は自然給気口から外気を導入します。
清掃をしなくても、換気風量・比消費電力とも変わりません。
それに対して1種の場合は比消費電力は7か月でおよそ2倍、有効換気風量はおよそ1/2になってしまいます。
定期的な清掃の重要性がわかる実験です。
『ライフサイクルコスト』という言葉をご存知でしょうか?
イニシャルコストとランニングコストを足したコストを言います。
換気システムを選ぶ際には、初期費用や電気代などに目が行きやすいものですが、実は使い続ける上で必要になる
フィルター交換
経年劣化によるファン交換
などの費用も考えなければなりません。
最初にかかる費用は『氷山の一角』です。
水の下には大きな氷塊が隠れているかもしれません。
室内空気を清浄に保つという換気システム本来の機能からすれば、どんな換気システムを選択しても消費電力は大差ありません。
そうであれば、メンテナンスの楽なシステムやライフサイクルコストの掛からないシステムを選んだ方が良さそうですね。
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