窓からの出入り

先日のゼミで教えて頂いたことを、この場を借りて自分なりに整理したいと思います。

熱貫流率(U値)という言葉があります。

材料自体の熱の伝えやすさだけでなく、材料の厚さも加味して熱の伝わりやすさを表した値です。

単位は「W/m2・K」を使います。

数値が小さいほど性能が良いことを示します。

平成21年4月1日に施行された改正省エネ法において、「K値」から「U値」に変更されました。

ここでU値について簡単な計算をしてみます。

(話をわかりやすくする為に、窓以外の例えば床・壁・天井の事は考えません。)

例えば、U値=2.33W/m2K窓の場合・・・。

窓の大きさは高さ2.0m×幅1.65mとしましょう。

一般的な掃出窓ですね。

ここで単位に注目!

Wは熱エネルギーを示します。

m2は面積。

そしてK温度差を示します。

それでは始めます。

2.33W/m2・Kの窓とは、㎡×温度差1℃当たり2.33Wの熱が内外で移動することを意味します。

それぞれに値を代入してみます。

m2には、2.0×1.65=3.3㎡

Kには、室内温度20℃-外気温度5℃=15℃

ですから

2.33×3.3㎡×15℃=115.335W

の熱量が窓から逃げる事になります。つまり室温が下がる。

これを超える熱量の暖房を使えば室温は低下しない事になります。

窓の断熱性能を1.40W/m2・Kに上げれば、69.30Wの熱が逃げます。

窓の重要性が判りますね。


窓の性能を高めるためには、以下のような方法があります。

アルミフレームを木・樹脂もしくは樹脂とアルミの複合に変える。

ガラスを変える。

例えば複層ガラスをLow-E複層ガラスに。

Low-E複層ガラスには、Low-E膜を貼る位置により『夏型』と『冬型』があります。

前者を遮熱タイプ、後者を高断熱タイプという場合もありますが、それぞれの特徴は以下の通りです。

前者は、室外側ガラスの空気層側に特殊金属膜をコーティングしてあり、夏には太陽光を50%以上カットし、冷房効果を高め、冬は、特殊金属膜が室内の熱を外へ逃がさないようなしくみになっています。(下図参照)
遮熱Low-Eのしくみ    遮熱Low-Eの構造  

また後者は、室内側ガラスの空気層側にコーティングされた特殊金属膜が、太陽熱を通過させながらも室内の熱を鏡のように反射しますので、一旦取り入れた熱を外に逃がさないようなしくみになっています。(下図参照)

断熱Low-Eのしくみ    断熱Low-Eの構造

日射侵入量・室内熱の損失量の大小があるだけで、基本的なしくみは同じです。

U値は前者の方が高くなっている為、以前はこれを選ぶ傾向にありました。

でもパッシブ設計が叫ばれる昨今は、変わりつつあります。

何故なんでしょう・・・。

その答えは太陽にあります。

東京の冬の日射量は正午の南面で900W/㎡にも及ぶそうです。

先述の窓であれば面積3.3㎡ですから、実に2970Wのストーブに早変わりということ。

6帖用のエアコンが2200Wですから、その凄さがわかります。

もっとも、晴れている正午に限っての話です。

でも、ガラスによって日射取得率は異なります。

同じLow-E複層ガラスであっても、夏型は0.40。冬型は0.64となります。

これって太陽光100に対して、前者は40、後者は64しか入らないってことらしい。

つまりせっかく2200Wの日射があっても、前者は1188W、後者は1900Wしか入らないことになります。

夏はありがたいけど冬は残念ですよね。

暖かい陽射しを無駄にしている・・・。

夏の日差しは、庇を深くしたり、スダレを下げることで対処出来ます。

せめてガラスを冬型にして、日射の恩恵を得ませんか?

なるほど・・・。

窓の性能と言えばU値ばかりに目が行きがちですが、日射侵入率も注目しなければ正しい省エネ住宅にはならないようですね。

いつもはコンピューターが勝手に計算してくれますが、手計算をしてみると、こうした事も良く理解できるようです。

たまには手計算もいいかも。

 

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