漏気による換気量とQ値との関係

今回はUA値ではなく、Q値の話です。

Q値は『建物の断熱性能を示すもの』という言い方をされます。

でもこれは誤解を招く表現です。

だってこの言い方だと、「断熱だけ考えれば良い」と思う人が出てしまうから。

本来は「Q値=建物の保温性を示すもの」という表現が適切です。

何故なら、Q値には『換気による熱損失』の評価が含まれているから。

Q値=(貫流熱損失+換気による熱損失)/床面積

換気による熱損失を計算時には「換気回数=0.5回/h」という数値を使うのが一般的。

そして

換気による熱損失=0.35×気積×換気回数

という計算式で求められます。

建物の漏気(隙間からの予期せぬ換気)は相当隙間面積(C値)に比例して増えます。

漏気による換気回数の関係は、例えば冬季を想定すれば次のようになります。

上図のⅠの建築地でC値が5.0㎠/㎡の建物であれば、漏気による換気回数は0.5回/hにもなる・・・。

C値が5.0㎠/㎡の建物といえば、特に気密に配慮していない家ですよね・・・。

計画換気で0.5回/hの換気回数、漏気で0.5回/hの換気回数、足したら1.0回/hになってしまう。

でも、Q値上は計画換気の0.5回/hしか含まれていない・・・。

問題です!

では、C値はどの位Q値に影響を与えるのか?

一般的な「省エネ基準相当の住宅」における「C値が1だけ異なる場合」の「漏気による換気回数」・「Q値全体における漏気による熱損失が占める割合」・「Q値の変化量」を見てみましょう。

先程のⅠの建築地でC値が5.0㎠/㎡の住宅と2.0㎠/㎡の住宅とでは、Q値が0.24W/㎡Kも違ってきます。

Q値0.24W/㎡Kって、結構大きな違いですよね。

それこそ、省エネ基準ギリギリの家であれば、気密が悪いだけで基準を満たさない家になってしまいます。

『実質Q値』という目安があるそうです。

Q値にC値/10を加えて算出します。

Q値=1.60W/㎡K、C値=5.0㎠/㎡の家であれば

1.60W/㎡K+5.0㎠/㎡/10=1.60+0.5=2.10W/㎡K

となる訳です。

C値が0.3㎠/㎡であれば、実質Q値は1.63W/㎡Kになります。

この違い、大きいと思いますよ。

隙間の多い家は暖かくありません。

そして丁寧な気密施工を行わなければ、C値1.0㎠/㎡を切ることなんてあり得ません。

C値がどの位のレベルにあるのか?

それが、あなたの家の暖かさを保証する基準になります。

漏気の怖さ、ご理解いただけたでしょうか?

省エネエコ住宅 設計究極マニュアル[増補改訂版]

野池政宏 編・著

X-Knowledge 刊

より、一部を抜粋しました。

みなさんも、是非手にとってみませんか?


 

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