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2009年の省エネ法改正において『透湿抵抗比』の考え方が示されました。
透湿抵抗比とは、材料ごとに定まる水蒸気の通りにくさを表します。
数値が高いものを室内側に配置し、低いものを室外側に配置するのがセオリーです。
透湿抵抗比が規定値以上の壁体は、
防湿層
通気層
の省略が可能となります。
ただし、推奨するという訳ではありません。
あくまでも部分的対応や断熱壁体の設計の自由度を高めるための措置に過ぎません。
このことを頭において運用することが重要です。
本来、断熱壁体は
防湿層
防風層
通気層
を伴わなければなりません。
これらを何らかの理由で省略する場合は、この評価を行い安全の確認をする必要があります。
なお、H25省エネ基準においてもこの考え方は継承されています。
透湿抵抗比による防露性能の確認の適用範囲は以下の通りです。
構造:木造(軸組工法・枠組工法)・鉄骨造・鉄筋コンクリート造。
部位:外壁・天井・屋根・外気に接する床・小屋裏に接する断熱壁。
なお小屋裏換気を行わない天井・基礎・床についてはこの評価方法を適用しない。
壁体の断面構成:断熱層が単一の材料で均質に構成される壁体。
なお断熱性能(熱伝導率)及び透湿性能(透湿率)の異なる複数の断熱材が同じ壁体内にある場合並びに断熱性能及び透湿性能が同じ複数の断熱材同志の間に異なる材料がある場合等については、この評価方法を適用しない。
外壁・屋根における透湿抵抗比は、断熱壁体の外側として室内側の透湿抵抗の合計を室外側の透湿抵抗の合計で除した値を言います。
その計算式は以下の通り。
石膏ボードについては、2×4工法のように横架材まで張り上げない限り、室内側の透湿抵抗に算入することはできません。
また一般的な内装仕上材も、室内側の透湿抵抗に算入することができません。
実際の外壁における透湿抵抗比について計算されたものをご覧ください。
充填断熱/通気層あり/ロックウール断熱材(t:92mm)の場合です。
まずは耐力面材をしようしない場合です。
大丈夫!
防湿層および通気層を設ければ、全地域で使用することができます。
続いて耐力面材として9mmの構造用合板をしようした場合です。
あれれ・・・。
防湿層・通気層を設けても、5~7地域しか使用できません。
寒冷地での使用は内部結露の恐れあり!ということですね。
9mmの構造用合板を12mmにしてみました。
耐震性を高める場合に採られる手法です。
ガーン!
防湿層・通気層を設けても全地域で使用不可。
あれ?
でも、こんな家たくさんありますよね。
ちゃんと確認してないのかな?
内部結露がいまだに無くならない理由がここにあります。
でも、気をつけてください。
この評価は、あくまでも『完璧な防湿施工』が前提です。
防湿フィルムが連続していなかったり、隙間があれば異なる結果が出てしまう。
だから防湿フィルム付断熱材を使うより、裸の断熱材に別張りシートの施工を行うことをお勧めします。
そして耐力面材を使用するのであれば、もっと透湿抵抗の低い面材を使いましょう。
こんな便利な手法があるのに、どうして活用されないのでしょうか?
posted by Asset Red
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