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先日の構造塾/改修版でもご説明いただいたデーターをご紹介します。
平成18年4月1日~平成30年6月30日に診断された木耐協の定期報告からの抜粋となります。
詳しくお知りになりたい方は、以下のページをご確認ください。
http://www.mokutaikyo.com/dcms_media/other/tyousa_1808.pdf
対象住宅は、昭和25年~平成12年5月までに着工された木造在来工法2階建て以下の建物となります。
12年3箇月分、26,317件のデ-ターとなります。凄い!
建築基準法では、耐震計算をする際に想定する地震を『大地震』と『中地震』の2段階に分けているそうです。
大地震とは『建物が建っている間に遭遇するかどうかという極めて稀な地震(数百年に1度起こる震度6強クラスの地震)』のこと。
中地震とは『建物が建っている間に何度か遭遇する可能性のある地震(震度5強程度)』となります。
大地震時には『人命を守ること』、中地震時には『建物という財産を守ること』を目標とするのが建築基準法の考え方です。
これに対して耐震診断では、人命を守ることに重点を置き『大地震時に倒壊しない』ための耐震性確保を目標に据えることを明示しています。
まずは、基本データーを見てもらいましょう。
旧耐震基準(昭和25~55年以前)および新耐震基準(昭和56年~平成12年5月以前)に建てられた建物が該当します。
『9割超が現行の耐震基準を満たしていない』という驚きの結果となりました。
倒壊する可能性が高い・・・73.77%(19,415件)
倒壊する可能性がある・・・17.41%(4,582件)
耐震基準は『昭和56年6月』と『平成12年6月』の2度に渡って大きく改訂されています。
木耐協では前者を旧耐震基準住宅、後者を新耐震基準住宅と区分しているようですね。
旧耐震基準住宅に絞った結果はこうなりました。
倒壊する可能性が高い・・・84.74%(10,895件)
倒壊する可能性がある・・・12.45%(1,601件)
やっぱり・・・。
旧耐震基準ですから仕方ないですよね。
だから新耐震基準になった訳だし・・・。
でも、新耐震基準住宅なら大丈夫ですよね?
結果を見てみましょう。
倒壊する可能性が高い・・・63.30%(8,520件)
倒壊する可能性がある・・・22.15%(2,981件)
えっ!
うそでしょ?
新耐震基準、ヤバイじゃん!
という結果となりました。
2階建て以下の建物というのがミソなんですよね。
3階建ての建物では、こんな結果にならないと思います。
なぜなら、後者は許容応力度計算(構造計算)による安全確認が行われているから。
でも、前者は『4号特例』のため、必ずしも構造計算による安全確認が行われていないんです。
もちろん、設計者による『仕様規定による安全性検討』は行われている筈。
①壁量計算(耐力壁の確保)
②四分割法(耐力壁の配置バランスの確認)
③N値計算(柱の接合方法の確認)
上記3つの簡易計算と
④基礎の仕様
⑤屋根葺き材等の緊結
⑥土台と基礎の緊結
⑦柱の小径
⑧横架材の欠き込み
⑨筋違の仕様
⑩火打材等の設置
⑪部材の品質と耐久性の確認
上記8つの仕様ルールがこれに当たります。
でも、確認申請時に提出の義務は無いんですよね。
これを『構造安全性検討不要』と勘違いしている設計者もいるらしい・・・。
簡易計算による安全確認や仕様ルールを守っていれば、危険な建物を無くせる訳ではありません。
まして、設計者が安全確認を怠っているなんて・・・。
こうした建物の中に、先述の『倒壊する可能性がある、もしくは高い』建物が隠れているんでしょうね。
しかも、建物は経年劣化によって弱体化する場合もあります。
壁内結露・シロアリや腐朽菌による被害、欠陥工事の怖れだってあります。
せめて、設計時の構造安全性だけでも確保したいと思いませんか?
やっぱり構造計算は行うべきだと思います。
えつ、弊社ですか?
もちろん、全棟構造計算による安全確認を行っています。
簡易計算だけでは心配ですから・・・。
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