完了検査済証の重み・・・。

知人からお盆休みに新築のご紹介を戴きました。

築20年の高断熱・高気密住宅にお住いの方です

8年ほど前に増築もしているとの事。

ちなみに、新築業者・増築業者ともに倒産しています。

ご要望を聞いてみると、既存の地下室を利用したい・・・。

えっ!

既存の地下室を利用する?

それじゃー、新築ではなくて増築ですよね。

詳しい話を聴いてみると、検査済証も取得していないご様子。

幸いなことに、既存部分の図面は残っていました。

これを持って役所の担当者に相談中です。

まだまだ結論は出ませんが、相当難しそうですね。

検査済証があれば、ずいぶんと楽だったのに・・・。

まずは既存の地下室が図面通りに施工されているのかを調査します。・・・①

そして、経年による劣化がないかどうかも調べます。・・・②

もちろん、地盤の状態&補強方法だって調べなければなりません。・・・①

これをクリア出来たとしても、増築時に繋げた基礎の影響や、それを撤去した後の強度を確認する必要もあります。・・・③

そもそも、現在の耐震基準に適合しているかどうかの判定も必要です。・・・④

ホームエレベーターを設置したいので、天井スラブに開口が必要です。

その為の安全確認と補強も必要になるでしょう。・・・⑤


『建物が完成したら、完成検査を受け検査済証を取得する。』

今では当たり前のことですが、当時は未取得のままお引き渡しというケースが多かったようですね。

違反建築だから、検査済証を取得できない建物もあるでしょう。

でもどちらかと言えば、単に取得することを忘れていた場合が多いと思います。

さすがに取得しなければならないという事を理解していなかったとは思えません。

そのツケが回ってきたようですね。

検査済証があったとしても、省略できるのは上記の①位なんですよね・・・。

でも、これが相当大変なんです。

いつも感じる事ですが、行政は増築・改築をさせたくないのかな?

少なくても、今よりは安全になることが多いですよね。

危険で、省エネ・健康でない既存建物を残すよりは、増・改築でより良くした方がいいと思うんですよね・・・。


そもそも、新築工事または増改築工事後に決められた完了検査を受けて『検査済証』が交付された建築物の数ってどの位なんでしょうか?

竣工時期が古いものほど少ないようですね。

国土交通省がまとめた資料によれば、1998年度時点の完了検査率(検査済証交付件数/建築確認件数)は38%だったそうです。

随分と低いですよね。

でもかっては5%〜20%程度だったそうですから、これでも改善しているようです。

2012年度時点では特定行政庁(建築主事)によるものが85%、指定確認検査機関によるものが91%となっています。

それでも1割近くは未取得なんですね・・・。

ちなみに、既存建物は適合建物と不適合建物の2つがあります。

そして不適合建物には『既存不適格建築物』と『違反建築物』の2つがあります。

前者は、それが建てられた時点または増改築工事がされた時点で適法だったものの、その後の法改正などによって現行の法規には適合していない状態のものを指します。

これに対して違反建築物とは、当初から関係法規に適合せずに建築・増改築または用途変更などが行われたものを指します。

当該建物は前者になります。

でも、このまま地下室を残して増築すれば違反建築になってしまう・・・。

既存不適格建築物はあくまでも当時の法規を守って建てられたものであり、新たに増改築工事などをする際には現行規定への適合が求められるものの、建築基準法には一定の緩和措置が設けられています。

また近年においては国土交通省による既存不適格建築物に対する規制の緩和、合理化なども図られています。

色々と大変だけど、諦める訳にはいかないんです。

地域密着工務店の名に懸けて、このまま増築して『違反建築』という看板を掲げる選択だけはできません。

posted by Asset Red

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