ビニールクロスの歴史

現場に動きがないわけではないんです。

石膏ボードを貼ったり、枠を取付けたり・・・。

地味に進められています。

でも、この段階って写真を撮ってもパッとしないんですよね。

石膏ボードを切ったり削ったり、ビスを留めたりするから常に現場は真っ白で埃っぽいし・・・。

だからという訳ではありませんが、今回は別の事を書きたいと思います。

今日、知り合いが私を訪ねてくれました。

色々な製品情報を得る事も出来たし、意見交換も出来ました。

たまには良いですよね。年中だと困りますが・・・。

弊社では、内装材として紙クロスをお勧めしています。

予算に余裕があれば、スイス漆喰を勧めることだってあります。

出来ればビニールクロスは止めて戴きたい。

私自身はそう思っています。

「内装材は何を使っているんですか?」

という質問に答える際にも、この事をお伝えしました。

「何か、良い話はないですかね。」

「ビニールクロスを否定するのも、どうかと思うんですよね。」

「でも、極力使って欲しくないんです。」

困ったように、知り合いはこう言っていました。

「ネガティブな話はしたくないんですよ。」

「・・・。」

戦後(1955~1973年)の約20年間、日本は未曽有の高度経済成長期を迎えました。

そのような時代背景の中、1960年代に入ってからビニールクロスなどの壁紙が登場したのです。

(変な話ですよね、クロスは布を意味します。

そして壁紙の紙とビニールは違います。

それなのにビニール製の内装材を指してビニールクロスとか壁紙という言葉を使います。

ビニールと布と紙、この3つは根本的に違います。

ひとまとめに語るなんて、おかしいと思うんですよね。

えっ、どう違うのかって?

それを言いたくないんですよね・・・。

ただ言えるのは、ビニールクロスを使っているのは日本くらいしか無いということです。)

それまで日本では、漆喰・聚楽・珪藻土などを使った湿式工法と呼ばれる土壁が主流でした。

でも、これらは左官業と云われるプロの職人さんしか施工出来ません。

工期も長く必要です。

当然、高くなります。

その点、ビニールクロスは安いし工期も短く出来ます。

布クロスや紙クロスで、安く早くつくるのは難しいと思います。

それにビニールクロスの方が施工が簡単で見栄えが良くなります。

その便利さと利点により、瞬く間に左官による土壁から取って変わられたのがビニールクロスです。

内装リフォームの現場でも、左官職人からクロス職人に替わることになりました。

ビニールクロスの急速な普及と共に、塩化ビニールという化学物質から発せられる『有害物質』による『シックハウス症候群』が社会問題になったのは、記憶に新しいのではないでしょうか。

2002年の厚生労働省による13種類の有害物質と、室内濃度に関するガイドラインを受け、各メーカーも出来るだけ環境にやさしいビニールクロスを開発・製造するようになりました。

また自主規制として、日本壁装協会が2007年にビニールの壁紙に対する化学物質の規制を設けましたが、『有害物質をゼロにするということはできない』ので問題が解決したということにはなっていません。

こんなことを思っている人も多いのではないでしょうか?

全ての仕上げを塗り壁に出来たらいいのになぁー。

でも高いんだよね。

予算的に無理!

諦めるしかない・・・。

それでは、塗り壁の良い点は何だと思いますか?

①自然素材である事、化学物質を含んでいない事。(但し、そうでない塗り壁も多く存在しています。)

②調湿ができ、快適空間を実現できる事。

③有害物質を吸着・分解できる事。

④保温効果がある事。

⑤カビの発生を抑制できる事。

⑥不燃である事。

⑦消臭効果がある事。

⑧経年劣化が少ない事。(但し、そうでない塗り壁も存在しています。)

⑨静電気の発生が無い事。(但し、そうでない塗り壁も存在しています。)

上に挙げた特長はビニールクロスには無いものばかりです。

もちろん、ビニールクロスに良い点があるように、塗り壁にだって悪い点もあります。

もっともっと、両者の違いを理解する必要があると思います。

そして、自分にとって何を選択するのが正解なのかを考えるべきだと思います。

緑字は、戴いた『Wakiwaki Wall』資料の中から抜粋・複写させて戴いています。

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