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地球にやさしいという言葉を良く耳にします。
正しくは『地球環境に優しい』という事でしょうね。
一般的には二酸化炭素排出量・貯蔵量を指す事が多いようです。
もちろん、汚染物質等を含んでいないのが前提です。
各工法別の材料製造時の炭素放出量を比較した表を示しました。
木造住宅 5.1t
鉄骨プレハブ住宅 14.7t
鉄筋コンクリート住宅 21.8t
各材料別の製造時の炭素放出量を見れば、一目瞭然です。
そして各工法別の炭素貯蔵量です。
木造住宅 6.0t
鉄骨プレハブ住宅 1.5t
鉄筋コンクリート住宅 1.6t
やっぱり、木造住宅が一番地球環境に優しいんです。
ちなみに一般家庭の排出する二酸化炭素の量は年平均3.4tなんだそうです。
これはスギ材5.0㎥に相当します。
鉄骨プレハブ住宅や鉄筋コンクリート住宅であっても、内装材に木質建材を採用すれば、地球環境に貢献することが出来る訳です。
同様に断熱材の選択によっても、貢献度は違ってきます。
例えば、グラスウールメーカーのカタログにはこんな事が書いてあります。
断熱材は、断熱材の製造・運搬・廃棄等に伴うCO2 排出量と、運用に伴うCO2 排出量を比較してLCCO2削減効果を評価する必要があります。
地球温暖化防止の取り組みのためには、断熱材を断熱性能だけで選ぶのではなく、断熱材自体の LCCO2 削減効果を考えて選ぶことが重要です。
グラスウールがLCCO2削減に貢献する理由は次の2つです。
①住宅のエネルギー消費量の削減
グラスウール断熱材で「高断熱住宅」にすることにより住宅のエネルギー消費量を削減できるため、断熱材製造時のCO2排出量と比較してもトータルとしてLCCO2の削減となります。
②繰り返し再利用できる素材
グラスウールは原料の85%以上がリサイクルガラス(リサイクルカレット)で、製造から使用、廃棄までのライフサイクルを通じて発生する環境負荷「ライフサイクルアセスメント(LCA)」が低く、地球環境に優しい素材といえます。
旧省エネ基準から次世代基準へ断熱強化した場合の硬質ウレタンフォームとグラスウールのLCCO2を比較しました。
どちらも高断熱化によるCO2削減量は同じにしています。
その際の硬質ウレタンフォームの製造中に排出されるCO2の量はグラスウールの約50倍にもなります。
そのため、住宅断熱に発泡プラスチック系断熱材を使っても結果的にはCO2 削減にはなりません。
むしろ使えば使うほどCO2 排出量を増やす結果となってしまいます。
その点グラスウールは、製造時のCO2 排出量及び住宅のグラスウール断熱強化によるCO2の削減でライフサイクル全体を通じてCO2削減に貢献する素材であることがわかります。
その上で、こうも書いてあります。
製造時の二酸化炭素量が少なくて地球環境に優しい上、経年劣化が無いと断言している訳です。
でも、こんな画像がネット上には反乱してますよね。
この画像はマシな方だと思います。
実際には、真っ黒になったグラスウールの画像や『内部結露』の被害に関するコメントが溢れています。
機会があり、メーカーの方に質問した事があります。
「経年劣化しないと云いますが、こうした現象をどう考えますか?」
その答えはこうでした。
「あくまでも施工の問題です。」
「正しい施工をしていないのが原因ですから、材料の問題ではありません。」
確かにそうですよね。
間違いではありません。
最近のカタログには、正しい施工方法がていねいに書かれています。
そして国の補助金を利用して、設計者・施工者向けの研修会を通じて、正しい設計・施工方法の周知徹底も図られるようになりました。
でも、その施工は非常にデリケートであり、面倒なものになっています。
私が参加した研修会の際に、隣席の方が呟いた一言が頭から離れません。
「そんな施工、やる訳ないじゃん!」
「机上の空論だよ・・・。」
散会した後、講師の方に聞いてみました。
「先生、仰っていたような施工が実践されていると思いますか?」
「一部の心ある施工者は実践しています。」
「全ての施工者が出来るでしょうか?」
「無理でしょうね。」
苦笑いしていました。
「今回の研修会を体験して、一人でも増えることを願うばかりです。」
これが本音なんだと思います。
断熱強化は断熱材の性能×施工精度と云われています。
どんなに優れた断熱材を採用しても、ひとつの施工ミスが台無しにしてしまう。
断熱材の内外には温度差が生じます。
常に結露と隣合せなんですよね。
だからこそ、施工ミスの起こりにくい断熱材が重要だと思います。
そして水に強い断熱材を選択するのも重要です。
パーフェクトな施工を求めるのは無理ですから。
弊社が採用している断熱材は硬質ウレタンフォームです。
決して環境性能の高い断熱材ではありません。
でもフロン発泡(HFCタイプ)~水発泡を経て、HFOタイプに変わりつつあります。
少しづつではありますが、環境性能の高いものになっているんです。
そして、経年劣化も少なくなっています。
一般的な断熱材は繊維系・発泡プラスチック系を問わず、建替え時やリフォーム時に再利用することはありません。
でもFPウレタンパネルは、再利用できるんですよね。
木枠部分を躯体に留め付ける断熱材ですから、取外す事が可能です。
そして、そのまま再利用できる訳です。
試しに取外した断熱材の物性を測定してみると、新築時と変わっていないことが確認されています。
築18年目の真実です。
建替え時に断熱材をそのまま再利用すれば、究極のリサイクルですよね。
回収した断熱材を再利用すると云いますが、再利用にはかなりの二酸化炭素を排出します。
運搬費や燃料費だって掛かります。
そのまま使いまわすのが一番だと思いませんか?
一般的な断熱材を再利用しようと思い人はいないと思います。
解体時にいつも思いますが、触りたくない・・・。
だって真っ黒なんだもん。
発泡プラスチック系の場合は、収縮したり割れたりしているし・・・。
そもそもきれいに採れませんしね。
posted by Asset Red
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