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昨日、防腐・防蟻剤メーカーの方が弊社を訪ねてきました。
最近、ホウ酸についての新しい情報が色々と入って来るんですよね・・・。
渡りに船とばかりに、黙って聞いていました。
担当者が、他メーカーのつくるホウ酸防蟻剤との違いとして取り出したのは木片と試液でした。
3cm角の木材に水道水を数滴垂らすと、木片の上に大きな水玉が出来ます。
水の表面張力による撥水という現象です。
そして、ホウ酸水溶液の試液を同じように垂らしました。
不思議・・・。
水玉は出来ず、試液は木片に染み込んでいきます。
「界面活性剤のおかげですね?」
「どの位の量を添加しているんですか?」
思わず聞いてしまいました。
「確かに界面活性剤を添加しています。でも、それだけではありません。」
「水自体に工夫が凝らしてあるんです。」
確かに戴いたパンフレットには、こう書かれています。
「水質から厳格に管理された高品質な水溶性タイプで、木材への浸透性に優れ、強力な保護層を形成します。」
ある浄水器メーカーが謳う、クラスター浸透水みたいな技術なんでしょうか?
これに対する詳しい説明はありませんでした。
そもそも界面活性剤とは、水と油を混ぜ合わせる働きを持つ物質のこと。
人間の身体の中にも存在しているものであり、必ずしも悪いものではありません。
自然界に存在する「天然界面活性剤」と、石油などの原料で人工的に作られた「合成界面活性剤」とがあるようです。
洗浄・起泡・乳化・保湿などの作用があって、多くの日用品や化粧品に使われています。
高い浸透性があるので、ホウ酸水溶液を木材中に染み込ませる効果が期待できます。
でも問題なのは、高い毒性・高い残留性があるということなんです。
身体に悪影響を及ぼし、また、下水処理でも分解・除去できないので、海や河川をも汚染する原因にもなります。
界面活性剤の人体や動物に及ぼす影響については、数多くの研究がされており国際的にデータベース化もされています。
OECDのガイドラインには毒性の強さを見極めるための指標が示されていて、具体的には急性毒性・反復投与毒性(慢性毒性)・遺伝毒性および生殖毒性などがあります。
急性毒性の一例として、経口毒性試験を紹介しましょう。
この試験は製品を誤って飲んでしまった時の、人体への悪影響を想定するために実施されています。
毒性の強さを知るために、対象となるもの(化学物質)を動物に食べさせ、その試験に用いた動物の半数が死に至る量を測定します。
もし少量の摂取でも動物が死に至れば、強い毒性を持っていると判断できます。
大量に摂取しても死に至らなければ、毒性は弱いことになります。
フグ毒→超毒性
ニコチン→強毒性
アンモニア・カフェイン→中程度毒性
カチオン・界面活性剤→経度毒性
食塩・石鹸・合成洗剤→事実上無害
お茶やコーヒーに含まれているカフェインそのものの毒性は中程度であり大量に摂取すると危険です。
しかし日常生活での摂取量であれば健康に悪影響は有りません。
ホウ酸自体の毒性は食塩程度と云われていますが、具体的に言えばビールジョッキ×2杯程度飲まなければ大丈夫との事。
担当者が目の前で試薬を舐めてくれました。
似たような製品を色々なメーカーが作っています。
それぞれの特徴をそれぞれに聞いてみるのも良いですね。
お互いの言ってる事が違っていたりして・・・。
最近はSDS(安全データシート)を貰って内容を確認するようにしています。
でも、見ているとびっくりする事も多いんです。
具体的な成分が書かれていないものもあります。
明らかに添加されている筈の界面活性剤が書かれていない事も多いんですよね。
試しに、その後、木片に手元にあるホウ酸水溶液(ボレイトキーパー)を垂らしてみました。
成分を見ると八ホウ酸二ナトリウム四水和物とあります。
界面活性剤の添加については書いてありません。
水道水と同様に、水玉が出来てしまい、吸い込まれませんでした。
除菌・防虫・防カビ・防臭・防炎を目的とした家庭用ホウ酸水溶液だから、界面活性剤は含んでいないのかもしれませんね。
posted by Asset Red
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