blog
コロニアル屋根における野地板の経年劣化について書きたいと思います。
先日も別の機会に書かせていただきました。
昨今コロニアル屋根の場合、屋根材と下葺き材の間や下葺き材(ルーフィング)と野地板の間、そして小屋裏で発生する結露が心配されています。
小屋裏に集まる暖かくて湿った空気が、野地板の裏で冷やされるのが原因です。
良く耳にする透湿ルーフィングを採用しても、コロニアルの場合は効果を期待できません。
でも弊社は、随分と長い間コロニアルを採用していました。
大丈夫なの?
心配になります。
築30年のお宅の屋根下地です。
地元工務店で施工した建物を弊社で改装させていただきました。
屋根はコロニアルです。
アスファルトルーフィングは乾いてボロボロ、野地合板はふやけてしまいグズグズの為、野地板ごと交換しました。
袋入りのグラスウールによる天井断熱、当然気密施工は省略していると思われます。
修理に携わって戴いた職人さんに聞いてみると、こんな事を言っていました。
「コロニアル屋根の葺き替えなんて、大概は写真のような状況だよ。」
「野地合板を貼り替えるケースなんて、ほとんどないね。」
「ルーフィングを増し張りしてオシマイ。」
それじゃー、折角コロニアルを葺き替えても意味がありません。
コロニアル屋根って、やっぱり問題あるんですかね。
この写真は築23年のお宅の屋根下地です。
現在進めている解体工事の最中に撮りました。
ルーフィングが波打ってはいるものの、特に劣化は見られません。
初めの写真とは雲泥の差・・・。
ルーフィングを剥いでみると、写真のようになっていました。
凄い!全然劣化していません。
野地合板はOSB、全ての継手部分にはブチルテープが貼られています。
わっ!なんて丁寧な施工・・・。
私自身、OSBを野地板として採用した経験を持っていません。
OSBとはOriented Strand Boardの頭文字、配向性ストランドボードと言われる木質材料の一種です。
アスペンと呼ばれる、やたら成長の早い木材を加工して作ります。
聴くところによれば、木と云うよりも草に近いんだとか・・・。
だからアスペンは柔らかで曲げ強度も低いそうです。
よって、そのままでは建材として利用できません。
そのため木材を薄い削片状にして乾燥させ、熱硬化性接着剤とともに積層し、高温のプレス処理する必要があるそうです。
この時に、削片状の向きをある程度揃えるので『配向性』なんだそうです。
木口から水分が浸透すると、この削片が膨張するという欠点があります。
つまり、濡れるとサイズが変わってしまうという事。
その為、継手部分に隙間を空けるのが一般的なんだそうです。
この欠点を補うのが、ブチルテープ施工のようですね。
防水素材を貼ってしまえば、水に濡れても大丈夫です。
確かに現場を見ていると、棟部分や軒先部分そしてけらば部分の野地合板はラワン合板になっていました。
細かい所にも配慮が必要な建材のようですね。
OSBを剥いで見ると、中から断熱材が出てきました。
イボイボが付いています。
どうやら、通気層のようですね。
軒先から覗いてみると、写真のようになっていました。
やっぱり、OSBの裏に通気層を設けた設計のようです。
剥がしたOSBを見ると、劣化していません。
あれ?OSBと断熱材は接着されていたようですね。
付着した破片が少し残っていました。
タルキ間には、写真のような断熱材が嵌め込まれていました。
材質は硬質ウレタンフォーム。
当時は、こんな断熱材があったんだ・・・。
室内側から覗いてみると、断熱材―タルキ―断熱材と気密テープで貼り付け、しっかりとした気密施工が施されています。
この施工ならば、小屋裏の暖かく湿った空気は気密テープで一体化された断熱材によって、透過しにくくなる筈。
万が一透過しても、通気層から換気棟を通じて外に排出されます。
硬質ウレタンは湿気を吸い込みにくい素材ですから、断熱材が吸水する事もありません。
そして、野地板に採用されているのは透湿抵抗の高いOSBです。
継手にはブチルテープが貼られている為、通気層で排出しきれない湿気があっても、OSBが邪魔をしてルーフィング裏には回らないでしょう。
ナルホド・・・。
この施工って、現在の弊社の施工と似ています。
断熱材を厚くして熱抵抗を増やし、アルミクラフト紙による2層の遮熱通気層も採用している分、弊社の建物の方が快適ですが・・・。
参考になるなぁー。
23年でこの状況を保持できているのであれば、築30年の家の屋根のようにはならないと思います。
コロニアル屋根でも、大丈夫!
ひとまず安心しました。
posted by Asset Red
住所:東京都練馬区北町2-13-11
電話:03-3550-1311
東武東上線 東武練馬駅下車5分