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昨日は建具屋と戸田の貸し倉庫で待ち合わせ。
23年前に作られた建物で使われていた木製建具を見てもらいました。
タモの突板で作られたフラッシュ戸が、再使用に耐えられる物なのか?
それを専門家に診てもらうのが、その目的でした。
フラッシュ戸とは、框と桟で作った骨組みの両面に合板などの面材を接着し、表面を平らに仕上げた戸のこと。
またフラッシュ(flush)とは、「平面の、平らな」などの意味を持つ英語なんだとか。
こんな構造になっています。
ちなみに、弊社が採用している建具の構造はこうなっています。
框組戸と言います。
無垢材で作った框を組み、無垢板で作った鏡板を嵌め込んだ建具です。
時を経ることで汚らしくなる事を経年劣化と言いますが、逆に味が出る『経年美化』を期待して採用しています。
どちらかと言うと、私自身フラッシュ戸には抵抗があるんですよね・・・。
表面に張ったシートや単板に傷が付くと、素地のベニヤが現れてしまいます。
中空構造ですから、穴が開くこともあります。
シート自体が劣化する事も多いし・・・。
でも23年前のフラッシュ戸を見た時に、きれいだなと思ったんです。
1枚剥ぎの突板も味が出ていたし、捨てるのが勿体ないなぁーと感じました。
突板とは、木材を0.2~0.6mmに薄くスライスした板材です。
希少性の高い美しい木目を持つ木材が用いられ、銘木単板とも呼ばれます。
合板や繊維板の表面等に貼られ、天然木化粧合板と呼ばれる場合もあります。
大根のかつら剥きを想像してください。
大根が木材、薄くスライスされたものが突板です。
この突板を合板等に貼ったものを使います。
この時、木が小さいと幅の広い突板をつくることが出来ません。
2~3枚剥ぎ合わせることになります。
最近は、こうした突板が多いんですよね。
お施主様には思い入れもあったんだと思います。
「使えるんであれば、再利用してください。」
という事で、取り外した建具を貸し倉庫に保管していた訳です。
こんな建具です。
ついでに、収納内の引き出しユニットも再利用することにしました。
カーテンレールも同様です。
建具の劣化具合って、表面の様子だけでわかるのかな?
十分使えそうなんだけど・・・。
ソレを専門家に診てもらいました。
「きれいですね。」
「十分使えます。」
第一声です。
「最近は、1枚剥ぎの突板なんてお目に掛かれませんよ。かなり貴重です。」
そうそう、最近は3枚剥ぎなんですよね。
10~15年は使えるとの事。
それ以上使うと、接着性能の問題で突板が剥がれてくるそうです。
無垢板であれば、こんな事も無いんですよね。
でも、フラッシュ戸が33~38年も使えると聞いてびっくりしました。
さらに専門家は言います。
「建材メーカーが作る木製建具の場合、10年もすれば金物が壊れ始めます。」
「交換しようと思っても、製造が終わっているケースが多いんですよね。」
そうなんです。
弊社が以前に採用していたメーカーの建具も、10年経過すると金物が壊れ始めます。
当然、金物の交換を行うためにメーカーに注文することになります。
でも大抵は製造が終了しているんですよね。
しかも製造メーカーは別の会社です。
他所から購入した金物を使っている訳です。
終了した金物の後継製品を聞いてもわからない場合も多いんです。
直接製造メーカーに問い合わせる必要も多いんですよね・・・。
こんな話をしていると、木製建具の選択もわからなくなります。
框組の建具は良いけど、メーカー品を採用すると金物が不安・・・。
建具屋さんにフラッシュ戸を作ってもらえば金物の心配は無いけど、経年劣化が心配・・・。
建具屋さんに框組の建具を作って貰うのが一番なんですよね。
でも価格が・・・。
金物を継続してくれるメーカー選択もアリだと思います。
引き続き、検討が必要ですね。
posted by Asset Red
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