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昨日は水道橋で行われた、東大前准教授のサマースクールに参加させていただきました。
毎年恒例の、自立循環型住宅研究会関東ゼミ主催のイベントです。
毎回楽しく、新しい知識を得ることが出来ます。
今回も色々と教えて頂きましたが、ηAc値の話をもっと聞きたかったと思っています。
自分自身、UA値ほど理解出来ていませんから・・・。
今回は昨日頂いた資料を元に、講義内容を思い出してみようと思います。
備忘録と言うことで・・・。
そもそもηAc値って、何なのか?
ηAC値は、窓から直接侵入する日射による熱と、窓以外から日射の影響で熱伝導により侵入する熱を評価した、冷房期の指標です。
単位日射強度当たりの日射により建物内部で取得する熱量を冷房期間で平均し、外皮面積の合計で除した値です。
値が小さいほど住宅内に入る日射による熱量が少なく、冷房効果が高くなります。
以前に採用されていたμ値の場合は、夏季日射取得係数と言われていました。
これは、夏期における日射の入りやすさをあらわします。
μ値が小さいほど、日射が入りづらく、冷房効率が高くなります。
※建物に侵入する日射量:部位ごとに侵入する日射量の総和
何がどう違うの?
どちらも建物が、夏季に日射の影響を受ける度合いを示しています。
夏季なのか冷房期なのか・・・。
どちらもあまり変わりないように思えます。
そして屋根や壁・窓等の各部位毎に積算し、合計した値を分子とします。
でも分母が違うんです。
前者は分母を外皮面積とし、後者は分母を床面積としています。
ここまでは、どうでもいい話ですよね?
結局、この値って何なの?
知りたいのは、ココからなんです。
ズバリ、日射の影響で上昇する温度がわかるらしい・・・。
例えば
①UA値0.87/ηAC値2.8の建物(H28基準)の場合
冷房期の平均日射熱取得率2.8÷100×外皮面積280㎡×夏季の標準的な水平全天日射量(480MJ/㎡・月)を1日に均した値180W/㎡
を
外皮平均熱貫流率0.87W/㎡・K×外皮面積280㎡+気積300㎥×0.5回/h×空気の体積比熱1.2kJ÷3.6
で割った値=5.8K
これ、H28基準相当の建物の温度上昇になります。
この建物の外皮性能をHEAT20のG2相当もで高め、ηAC値はそのままにした時のが次の計算です。
②UA値0.46/ηAC値2.8の建物(HEAT20/G2)の場合
冷房期の平均日射熱取得率2.8÷100×外皮面積280㎡×夏季の標準的な水平全天日射量(480MJ/㎡・月)を1日に均した値180W/㎡
を
外皮平均熱貫流率0.46W/㎡・K×外皮面積280㎡+気積300㎥×0.5回/h×空気の体積比熱1.2kJ÷3.6
で割った値=11.0K
を比較してみましょう。
①の上昇温度は5.8℃、②の上昇温度は11.0℃になりました。
アレレ・・・?
同じηAC値2.8なのに、②の方が温度上昇するようですね。
ナルホド・・・。
コレって、単に外皮性能を高めると、室内温度は上昇する事を表しています。
ηAC値が同じ建物ならば、同じ環境が得られる訳ではないんですね。
そうか!
こうやって確かめるのか・・・。
よくわかりました。
最近耳にする機会が増えた無暖房住宅、流石に24時間無暖房ってハードル高いと思います。
木造住宅の場合は、蓄熱量が少ないですからね。
でも、無暖房でいける時間を増やす事は可能です。
外皮強化と日射取得を適切に行えば、問題ありません。
しかし、同時に日射遮蔽も考えておかないと夏場に痛い思いをする事になります。
ダイレクトゲインで室温上昇を招いてしまいます。
流石に無冷房住宅は無理だけど、冷房負荷は減らしたいですよね?
であれば、ηAc値は気にしないといけません。
でも国が設定した値はあてにならないようですよ。
先程の計算が、如実に物語っています。
どうして、この値になったのでしょうか?
前先生によれば
「窓の内側にレースのカーテンを付ける程度でクリア出来る性能にしておけば、問題無いでしょ!」的に決まったらしい・・・。
本当かよ⁉️
でも、その後レースのカーテンによる日射遮蔽は、計算上認められなくなりました。
そしてガラスによる対策が主流となり、現在に至ります。
何か良い目安を見つけないとなー。
HEAT20も、この値をそのまま採用してるし・・・。
根拠の無い基準値って、どうなの?
やっぱり、ホームズ君買うしか無いのかな?
でも、買ってもシュミレーションする時間取れなかったりして・・・。
文中緑字部分及び、イラストはホームズ君のHPより転載させていただきました。
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