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定休日前日の練馬・板橋。
朝晩は、なんとなく秋の空気を感じてしまいます。
秋が近いのかなぁー。
うれしいような、寂しいような・・・。
でも、来週は暑くなるようですね。
残暑対策、しておかないとなりません・・・。
『FPの家 H邸』
今日も建物内外で、バタバタと作業を続けています。
中では、大工さんの合間を縫って電気屋さんが作業をしています。
石膏ボードの穴明けのようですね。
コンセントやスイッチ用のBOXを設置した場所をセンサーで見つけ、四角い穴を明ける作業です。
クロス屋さんが乗り込む前に終わらせないといけません。
現場が空いた時に来て、少しずつ進めてくれているんです。
外では、ようやく南側のサイディングを張り始めました。
写真はバルコニーの腰壁部分です。
天端に貼った防水シートに合わせてサイディングを張り、天端に専用部材を設置します。
入隅部分の納まりも撮ってみました。
入隅用のジョイナー、わかりますか?
L型のGL鋼板にパッキンが付いています。
ここに、サイディングを押し付けているのが見えると思います。
防水対策、色々と工夫してします。
雨洩りって、絶対あってはならないと思います。
銀色のシートは、透湿防水シートです。
弊社では、タイベックシルバーを採用しています。
採用理由は色々ありますが、まずは遮熱性能について書こうと思います。
その前に、熱の移動の話からスタートします。
熱は温度の高い方から低い方に移動します。
これを熱移動と云います。
そして、その方法には3つあると云われています。
①伝導・伝達
物体を伝わって熱が移動します。
熱くなった鍋を触ると手が熱いでしょ?
これが伝導もしくは伝達です。
②対流
空気や水の移動によって熱が移動します。
お風呂をイメージするとわかりやすいでしょう。
③輻射・放射
これが一番わかりにくいと思います。
温められた物体が発する熱線が、温度の低い物体に到達し、自らが発熱する現象です。
焚火が暖かいのは、輻射の影響です。
太陽の熱を考えてください。
宇宙空間は真空ですから、対流はありません。
太陽とあなたを繋ぐ物体もありませんから、伝導もありません。
でも太陽の熱って、暖かいですよね?
これが輻射もしくは放射です。
伝導や対流による熱移動を抑えるのが断熱の役割で、放射による熱移動を抑えるのが遮熱の役割となります。
しかも放射の方が多いんです。
だから、遮熱対策は重要です。
そして遮熱材として利用されているのが、アルミ熱線反射材です。
これを、屋根や外壁と断熱材の間に挟みます。
そうする事で、放射熱をカットする訳です。
上図のように、コンクリートと比較すると、アルミの遮熱性能はダンゼン高いんです。
でも、意外と高価なんですよね。
そこで弊社では、遮熱性能を兼ね備えた透湿防水シートを採用しています。
それぞれ別々に張るよりも安くできます。
アルミの97%反射と比較すれば、85%反射は物足りないかもしれません。
それでも、やらないよりはマシだと思います。
外壁合板の外側に遮熱シート(以下シート)を張り、通気層を設け、外壁を張る。
これが弊社の標準的な施工方法です。
暖められた外壁は熱線を放射します。
放射された熱線は通気層を通り越し、外壁合板に張られたシートを暖めようとします。
この時、シートの熱線反射性能がモノを言うことになります。
性能が高ければ高いほど、放射による熱移動を抑える事ができる訳です。
そして反射された熱線は、通気層内の空気を暖めます。
こんな話があります。
屋根に塗る遮熱塗料というものがあります。
これを塗ることで、屋根から建物内に侵入する熱は劇的に少なくなるようです。
だから、全ての家の屋根にこれを塗れば良いのでは?
と思いますよね?
でも反射した太陽熱で大気が暖められてしまうので、地球環境的には結局効果はあまり期待できないそうです。
すいません、話が脱線しちゃいました。
話を元に戻します。
通気層内の上昇気流が増えると、軒天換気口や小屋裏換気口からの排熱量を増やします。
よって、建物に侵入する熱量は減る筈。
でも、この方法にも気になる点があるんですよね。
シートと外壁合板が密着している点です。
通気層内の温度が高まると、シート自体が伝導および対流で高温になってしまいます。
シートの熱は外壁合板から躯体に移動するので、放射熱を抑えても、あまり意味がないのでは?
と思うんですよね。
上図は一般的な壁構成と、以前に知った『一度試してみたい壁構成』を上から見たものです。
違いは、シートを通気胴縁の前後に互い違いに張っている事。
遮熱通気層が、シートの裏表に出来るので、シートからの熱伝導を抑えることが出来そうです。
縦断面は、こんな感じです。
試したい壁構成の方は、シートが斜めに張られているので、左右の図のような構成が順番に並んでいる訳です。
シートの熱を躯体に伝えない為の工夫、素晴らしいと思います。
でもシートを外壁合板に直接張る事ができないので、シートの施工が難しいでしょうね。
しわやヨレが出来てしまいそうです。
防水シートを兼ねる訳ですから、施工精度は重要です。
この点が解決しないと試す訳にはいきません・・・。
躯体側に普通の透湿防水シートを貼り、通気胴縁を施工し、その上に遮熱シートを張り、またその上に通気胴縁を施工する。
この方法が一番良さそうですが、費用対効果を考えると、中々実行する事が出来ません。
販売元が公表しているタイベックシルバーと、普通の白い防水シートとの、遮熱性能の比較データーです。
その差は2.73W/㎡となっています。
南面壁が55㎡であれば、150Wの違いです。
思ったよりも、たいした事ないですよね。
それもその筈です。
こんな資料があります。
HEAT20の資料です。
断熱性能別に、白いシートと遮熱シートの冷暖房負荷を比較しています。
断熱性能の低い建物であれば、それなりの差が出ます。
でも断熱性能が高くなると、その差はほぼゼロです。
高価なタイベックシルバーを使う必要ないんじゃない?
ましてや、もっと高価なアルミ遮熱材を使う意味って・・・。
業界内では、タイベックシルバーの採用は温熱的には意味が無いと云われています。
今までの説明を読んで頂ければ、ご理解いただけると思います。
では、何故弊社は採用しているのでしょうか?
その理由は3つあります。
①上図のように、普通の透湿防水シートと比較して、タイベックシルバーの防水性は長期に渡り持続するから。
②防蟻剤に含まれる界面活性剤による防水性の低下が、他の透湿防水シートに比べて少ないから。
シートが界面活性剤の影響を受ける仕組みは、上図の通りです。
また、シートによる違いは次の図の通りです。
防水性残存率って、凄い言葉ですよね。
これが、85%と18%になっています。
もちろん、前者がタイベックシルバーで、後者が白いシートです。
③通気層内の上昇気流速度が速い為、漏水および内部結露の恐れが少なくなるから。
3つとも、重要なことだと思いませんか?
でも、その分高価なんですよね。
仮に同じ性能を担保出来る白いシートがあれば、価格次第ではありますが、すぐにでも乗り換えるつもりです。
そもそも、10年で、防水性能が落ちてしまうシートなんておかしいですよね?
posted by Asset Red
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