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気候変動に関する話を数回に分けてご紹介しています。
その第5回目は、ヤンガードリアスの再来というお話です。
『ヤンガードリアス』は、最終氷期が終わり温暖化が始まった状態から急激に寒冷化に戻った現象です。
1万2900年前から1万1500年前にかけて北半球の高緯度で起こりました。
この変化は数十年の期間で起きたとされていて、グリーンランドの氷床コアGISP2の同位体データによれば、この間グリーンランドの山頂部では現在よりも15℃も寒冷であったことを示しています。
イギリスでは甲虫の化石から、年平均気温がおよそ-5℃に低下し、高地には氷原や氷河が形成され、氷河の先端は低地まで前進していたことも示唆されています。
これほど規模が大きく急激な気候変化は、その後起きた形跡がありません。
この原因は、北大西洋の熱塩循環の著しい減退もしくは停止によって起きたと言う説が有力です。
最終氷期の終了に伴う温暖化によって、それまで北大西洋中緯度までしか北上できなかった暖流のメキシコ湾流が高い緯度まで達するようになります。
そして、ここで大気中に熱を放出し沈降します。
この放出された熱により、ヨーロッパは高緯度まで温暖化が進み、大陸氷床は急速に縮小しつつありました。
北アメリカでも氷床は後退しつつ、融解した氷床は現在の五大湖より更に巨大なアガシー湖を造って、そこから溢れた大量の淡水はミシシッピ川を通ってメキシコ湾に注ぎました。
そして氷床が北に後退すると、セントローレンス川の流路が氷の下から現れます。
するとアガシー湖の水はセントローレンス川を通り、北大西洋に流出。
この膨大な量の淡水は比重が海水よりも小さい為、北大西洋の表層に広がり、メキシコ湾流の北上と熱の放出を妨げ、ヨーロッパは再び寒冷化。
世界的に影響が及んだとされています。
続く・・・。
posted by Asset Red
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