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先日、お客様との会話にセルロースファイバー(以下、CFと表記)の話題が出ました。
弊社でも天井断熱に限り、この断熱材を時々採用しています。
天然の木質繊維を利用した断熱材です。
新聞紙・古紙を利用したリサイクル製品で、環境性能が高い事。
吸音性能が高い事。
責任施工体制を持っている為、品質の高い施工が期待できる事。
ホウ素が混入されている為、不燃性である事。
これらが、弊社の採用理由です。
CFを標準採用する工務店は、これらの点に加えて吸放湿性の高さも挙げています。
夏の湿度が高く冬は乾燥するという我が国特有の気候風土に適した断熱材である。
木質繊維の持つ吸放湿性が快適な室空間を維持できるという訳です。
この点に関しても、特に依存はありません。
でも、時々見かけるんですよね。
室内の湿気を吸って建物外に排出するので、防湿・気密シートの施工は要らないとか、計画換気は不要だという方々が・・・。
こんな意見、私は看過することが出来ません。
こんなページを見つけました。
CFの吸放湿性と壁内結露に関する検証と考察です。
是非、ご確認ください。
私も同意見です。
確かに、結露判定をしても壁内結露は起きないんです。
私もやってみました。
だから、防湿・気密シートは不要なの?
以前、CF製造メーカーに聞いてみた事があります。
その時の回答は
「基本的には、防湿・気密施工が必要と考えています。」
「でも結露判定において安全性の確認を行った上で、設計者判断による防湿・気密施工の省略をする場合は認めざるを得ません。」
「でも計画換気を担保する上で、ある程度の気密性能は必須なんですよね・・・。」
というような内容でした。
この回答についても、納得できます。
気密性を高める事は、同時にある程度の防湿性を向上させる事に繋がります。
防湿は不要だけど、気密性は高めたい!
というのであれば、防湿気密シートの施工を行わず、透湿性の高い外壁合板等を採用して気密性を高めるべきだと思います。
そうすれば、計画換気がちゃんと機能するからです。
換気の目的は壁内結露の防止だけではありません。
室内の有害物質(二酸化炭素や水蒸気、臭い等も含みます。)の徐去も重要な目的です。
「隙間の多い家であれば、隙間から換気するでしょ?」
そもそも隙間換気の場合、温度差や風向きの違いで換気量が異なるんです。
よって、窓開け換気をするしかありません。
雨・雪の日であっても、ずーっと開ける必要があるんです。
「昔の家は、そんな事ないじゃん!」
という方もいるでしょう。
でも今の家って、特に意識しなくてもC値で言えば5.0㎠/㎡程度の気密性能になるそうです。
C値10.0㎠/㎡くらいでなければ、窓開け換気って必要らしいですよ。
そもそも隙間があったら、そこから熱が出入りしちゃいますよ。
これって、断熱欠損です。
断熱欠損が無いのは、暖かい家の前提条件の筈。
隙間があれば暖かくないし、壁内結露が起きます。
CFだって、吸湿すれば断熱性能が低下します。
先程の結露判定時の条件と違ってくるんですよね。
水蒸気を含んで重量を増せば、沈降する事も考えられます。
断熱欠損が益々拡大します。
こんな不安を残すなら、防湿施工をした方が良いのでは?
と私は思うんです。
CFには断熱材の本分を全うしてもらう。
そして吸放湿や吸音は、他の方法で考える。
CFはあくまでも予備と考える方が良いのでは・・・。
これが真っ当な考え方だと思うんですよね。
posted by Asset Red
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