火事と木材

今日は日曜日。

現場はお休みです。

久し振りに木材の話をご紹介したいと思います。

木材最大の利点であり重要な特徴は、軽くて強い性質を持っていることと、それが簡単に手に入ることです。

山々の木々がすぐ近くにあり、これを使う分には運ぶ距離もそれほどではありません。

しかも重くなく、加工しやすいとなれば、木の文化が発達するのも当然です。

でも昨今は、安い外材をわざわざ遠くから船で運んでいるんですよね・・・。

こんなデーターがあります。

約38坪の木造住宅の木材輸送過程のCO2排出量のグラフです。

地域産材・国産材・欧州産材でそれぞれの木材輸送過程のCO2排出量を比較しています。

それぞれの排出量は、地域産材494/国産材1206/欧州産材6782。

凄い差ですよね。

これって、直径20cm×樹高18m(35年生)のスギのCO2に換算すると次のようになるそうです。

地域産材/494kg・・・0.7㎥/2.5本分に相当

国産材/1206kg・・・1.7㎥/6.4本分に相当

欧州産材/6782kg・・・9.7㎥/36本分に相当

せっかく木々に囲まれているの、わざわざ燃料を使って、CO2排出量を増やすことないのに・・・。

そう思います。

でも現実は、こうなっているんです。

アメリカ・ドイツ・日本のウッドマイレージを比較したデーターです。

ウッドマイレージとは、1994年に英国の消費者運動家ティム・ラング氏が提唱したFood Miles(日本では「フードマイレージ」という表記をとる)を木材に応用した指標です。

木材の量と木材の産地と消費地まで輸送距離を乗じて算出します。

日本の木材に対する自給率は18.2%とかなり低くなっています。

南米・アフリカ・欧州・オセアニアといった、8000km以上離れた輸出国からの輸入割合が40%。

結果として日本のウッドマイレージは384億kmとなります。

これって、米国の4.6倍・ドイツの21倍にもなるんです。

輸送過程の二酸化炭素排出量(ウッドマイレージCO2)を計る研究や、認証制度の試みも始められています。

なんだか、情けないですよね。

各材料の製造時のCO2排出量比較も挙げておきます。

木材のそれって、かなり低いことがわかると思います。

話を戻しましょう。

木材の持つ様々な利点と言えば、木の強度が挙げられます。

同じ重さで比較した場合、木材は鉄の約3倍の引っ張り強度があります。

コンクリートの約12倍の圧縮強度もあるんです。

また、木材・アルミニウム・鉄を同じ温度で加熱したときの時間による強度変化は以下の通りです。

アルミニウムや鉄は、加熱開始後すぐに強度低下します。

でも木材の強度が急激に低下することはありません。

これは、木材が燃えると表面が炭化する為です。

炭化層は木材内部への酸素供給を遮断します。

またある程度の断熱性も持っています。

これが火の木材内部へ燃え進むのを遅らせ、強度低下を穏やかにしているんです。

大雑把に言えば、ある程度の厚さを持つ木材の燃え進む速度は、1分間に0.6mm程度と言われています。

柱・梁であれば、30分間火に曝されていても表面から18mm程度は焦げますが、中身は残っているので10分を経過しても80%の強度を保っています。

これに対して鉄の場合は、5分も経たないうちに半分の強度になってしまいます。

そもそも、材料の持つ断熱性自体も違いますよね。

各種材料の熱伝導率を比較したデーターです。

つくづく、木って凄いなぁーと思います。

そうそう、このデーターを忘れちゃいけません。

素材の異なるケージにおけるマウスの生存率を比較したデーターです。

イメージすれば、なんとなく納得できますよね?

書きたいことは、もっとあります。

でも、今回はここまでとします。

機会があれば、続きも書きたいと思います。

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