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先日、JBN環境委員会の主催する『特別研修会』に参加してきました。
いくつかの断熱材メーカーや団体による、断熱材の長期性能に関するデーターと取り扱い上の注意点等が熱く語られていました。
弊社はJBNに参加していませんが、今後もこの手の研修会にはスポット参戦したいと思いました。
今回は
あれ
と感じた事。
へぇー
と感じた事を書きたいと思います。
繊維系断熱材の断熱性は、繊維に包まれた動かない空気によるものだと言われいてます。
ちなみに空気の熱伝導率は0.026W/m・Kです。
そしてこれを包むガラス繊維と、接着剤(バインダー)の熱伝導率は空気よりも悪くなっています。
だから、空気の割合を高める(それ以外の割合を低くする)ことで断熱材自体の熱伝導率を下げることが出来る訳です。
理論上は、0.031W/m・K位が下限値なんだそうです。
だから、これ以下の熱伝導率をもつ断熱材には、空気の代わりに不活性ガスが使われている事になります。
不活性ガスは時間を掛けて、空気と置換します。
そして、これを使った断熱材(発泡プラスチック系断熱材)は徐々に断熱性能が低下する事になります。
25年経過したら、この断熱材の性能はどの位になるの?
これが今回のテーマだったんです。
発表自体は目新しいものではありませんでした。
拙ブログでも以前に書いたことと大差ありません。
でも今回は繊維系断熱材の経年劣化についても語られていたんです。
以下、プレゼン内容をそのまま転載させていただきます。
グラスウールの断熱性能の劣化要因
①熱伝導率の劣化要因
繊維径が太くなる
密度が下がる
→無機系であり、物理上起こりにくい!
内部空気が熱伝導率の悪いものに置き換わる
→湿気ではそれほど悪化しない
→雨洩り・内部結露による含水があると劣化する
風に晒される
→低密度品に限り低下する
→通気層との境目には防風層を施工する。
→壁には通気止めを施工する。
②厚さの劣化要因
バインダーや繊維自体の劣化・によるへたり
→実験によりマット状のものでは、劣化によるへたりは認められない
→むしろ膨らむ傾向が高い
吹込み断熱材における自重によるへたり
→天井用は1~5%程度沈下が予想される
→対策として10%程度の吹き増しを行う
→壁用に関しては振動試験により沈下は認められない密度設定が必要
ここまでは概ね納得です。
最近の高性能グラスウールって、熱伝導率が0.032W/m・Kまで向上しているんですね。
繊維径が極端に小さいので、チクチクもしないそうです。
次の画像をご覧ください。
プレゼン画面そのままを転載しました。
相変わらず、関東地区では『耳付き』と言われる断熱材をスッポリ袋で包んだ製品が採用されています。
この断熱材が使われている理由が、私にはわかりません。
施工性が良いという方もいますが、きちんとした施工をするのであれば、むしろ施工性を悪くしていると思うからです。
この画像でも、その事を伝えていました。
現場で良く見掛ける現象があります。
画像左下がそれです。
『グラスウールがずり落ちているように見える』
これって、袋入りの断熱材をそのまま使っていたら解消することが出来ません。
そこでメーカーは、こんな事を推奨しています。
『防湿層でない面の袋を横方向に切ることで、隙間の無い施工が出来る』
そもそも、防湿層の面を切ってはいけません。
連続して貼る必要があります。
でもその他の面は、単なるチクチク対策なんだそうです。
だから無くても良い!
あると、正しい施工の差し障りになるので切ってしまいましょう!
という訳です。
だったら、耳なしグラスウールを売れば良いのでは?
呆れてしまいました。
『グラスウールは経年劣化しない。』
『ただし、正しい施工をしなければ、その限りでは無い。』
『皆さん、正しい施工を心掛けてください。』
結局、結論はいつもと変わりありませんでした。
裏を返せば、丁寧な施工をしている工務店を選ばないと、経年劣化もあり得ます。
って事ですよね。
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