湿度に関する質問

昨日、スタッフから報告を受けました。

私の留守中に、拙ブログを読んだ方より電話を戴いたとの事。

弊社商圏内で、首都圏を中心にお求めやすい価格で建売事業を展開する某ビルダーの建売住宅を購入した方らしい。

室内の湿度に関する相談だと言います。

相対湿度が60%を若干超えているそうです。

ここで、簡単に湿度に関して説明したいと思います。

一般的に言われている冬季の理想的な湿度は40~60%。

これを下回ると、呼吸系疾患が増えたりウィルスの活動が活発化します。

また、これを上回ると真菌・カビの活性化やアレルギー性鼻炎を引き起こす場合も・・・。

でも、この環境を維持するのって結構難しいんですよね。

加湿器を使ってなんとか達成する事が出来るレベルです。

例えば現在の練馬付近の外気は5.6℃/65.0%になっています。

けっこう高いですね。

この時の絶対湿度は3.66g/㎏DA。

空気線図を挙げておきます。

縦軸が絶対湿度(g/㎏DA)、横軸が温度(℃)/右上がりの曲線が相対湿度(%)を示しています。

ピンクの丸が気温5.6℃/湿度65.0%、この空気を気温25℃の室内に導入します。

気温は5.6℃から25℃に上昇しますが、絶対湿度は除湿や加湿をしない限り変わりません。

よって、水平に移動した黄色い丸になります。

この時の相対湿度は18.7%。

かなり見事な過乾燥空気です。

空気中に含む事の出来る水蒸気量には、限りがあります。

また、その量は温度によって変わります。

ある温度の時、最大限含むことの出来る水蒸気量を飽和水蒸気量と言います。

これを超えた分の水蒸気を空気は保つ事が出来ません。

この時発生するのが結露です。

飽和水蒸気量を100%とした時の、空気中の水蒸気量の割合を示したものが相対湿度ですから、100%を超えれば結露する事になります。

だから空気の温度を上げれば相対湿度は下がり、逆に下げれば相対湿度は上がります。

上図は、16.5℃/50.0%の空気を25.0℃にした時の相対湿度が30.0%になる事を示しています。

図中の水滴は空気中の水蒸気量、黄色いお皿は飽和水蒸気量を示しています。

お皿は増えるけど、水滴は増えません。

だからお皿に対する水滴の割合は下がる訳です。

また水滴の数を絶対湿度と表現する事も出来ます。

乾燥空気1kg中に含まれる水蒸気量をgで示す値です。

除湿はこれを少なくし、加湿は多くします。

両者を行わなければ、温度が変わってもこれは変わりません。


でも質問の意図がわかりません。

相対湿度60%ならば、良いじゃないですか!

理想的だと思います。

何故、こんなに湿度が高いの?

雨洩りでもしているのかな?

という事でしょうか?

加湿器は使っていないと言います。

雨の日の話でもないようです。

室内に水槽でも置いてるのかな?(聞いていないそうです。)

ガスヒーターや石油ストーブは使っていません。

えっ

暖房してないの

室温は10℃位だと言います。

日中の外気が13℃48%とすれば、絶対湿度は4.4g/㎏DA。

これを10℃の室内に導入すると、相対湿度は59%になります。

60%ならば、温湿度計の誤差範囲と思われます。

基礎断熱と言っていましたから、あと1年位は基礎からの水蒸気放散の影響もあるでしょう。

でも、問題ないと思います。

作り手にも質問したそうです。

でも、明確な回答は得られなかったとの事。

なんで、この位の事が答えられないんだろう?

同じ住宅従事者として、不思議で仕方ありません。

それよりも、室温10℃の方が問題だと思います。

建売ですから、当然現行省エネ基準はクリアしている筈。

日中の温度が10℃なんて・・・。

かなり日当たりの悪い家なんでしょうね。

健康に注意して貰いたいと思います。

室温18℃を下回らないようにしてください。

加湿しないと、湿度は下がってしまいますが・・・。

 

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