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自然室温という言葉があります。
自然室温は、エアコンなどにより加熱も冷却もしていない状態をいいます。
そして、弊社が創業以来力を入れているのが断熱・気密性の向上です。
これらを高めると、外の熱の影響を受けにくくなります。
冬の自然室温が高くなる訳です。
この効果は、エアコンを動かせばすぐにわかります。
当然、暖冷房費も安くなります。
でも断熱・気密性能は、建物内外の熱移動の速度を緩やかにするだけです。
それ自体が建物を暖めたり、冷やしたりするわけではありません。
なぜなら断熱・気密性能の向上は『熱負荷』を小さくするのが目的だからです。
『熱取得』を図るのであれば、暖冷房や日射取得を行う必要があります。
ご家族の体温(人も犬も猫も含みます。)や、電気製品・煮炊きなどの内部発熱も取得熱のひとつです。
また冬には、この内部発熱が有効に働きますが、夏には室温を高める側に作用します。
四季を通じて建物の熱移動や熱取得をバランスよく行えることが、快適で省エネな建物の大前提となる訳です。
これを最近では、パッシブ設計と呼んでいます。
そして、これらを設計段階でシミュレーションする事も可能です。
でも、実際のそれとは当然異なります。
何故なら、シュミレーションはあくまでも一定条件の元でしか計算出来ないからです。
生活をしていれば、様々なイレギュラーもあります。
こうしたイレギュラーを含む実際の生活の中で、設計された建物が、どれだけシュミーション通りに機能しているのか?
確認したいですよね。
それを可能にするのが、データロガーです。
こんな装置を使います。
機器にもよりますが、一定時間ごとに温湿度を記録してくれます。
中には二酸化炭素濃度や騒音の大きさを測れるものもあるようです。
ひとつの建物に、複数台設置することで、室間温度差を比較することも可能。
暖冷房の稼働状況や、日当たり、ご家族の在宅・付在宅による温熱環境の推移を確認できます。
この結果をフィードバックする事で、シュミレーション精度をさらに高める事が出来るでしょう。
弊社でも、大学や参加団体から借りたデータロガーを使って実測値を集め始めました。
『エアコン1台で快適』と謳う建物が散見できる昨今ではありますが、各室ごとの温度差は2℃以内になっているのでしょうか?
2℃は無理でも、3℃には納めたいところでしょう。
暖冷房負荷ギリギリの設計には、様々な不安が残ります。
逆に複数台の暖冷房機器の設置が、様々な弊害をもたらす場合も少なくありません。
この辺りの事を、実際のデータを検証することで、見極めていければと思います。
現在、データロガーを6台設置中です。
居室間欠暖冷房時の温度・湿度推移を確認中。
さらに別のお宅に、新しいデータロガーを5台設置しました。
今回は、日射取得と室内環境の変化を確認するのが目的です。
新しい何かが見つかるといいんですが・・・。
posted by Asset Red
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