水は上から下に落ちるもの

今回は、敢えて写真を添付しませんでした。

漏水関連の写真って、ショッキングなものが多いんですよね。

ご近所の方に漏水の相談を受けたんです。

早速大工と一緒に、怪しい部分を開いてみました。

当たり!

問題の部分をどう直すのか?

相談し、必要な材料を手配しました。

築古の家を見ていると、かなり厳しい納まりを見つける事があります。

防水に関する納まりです。

屋根と外壁やバルコニー笠木と屋根の取合い部が多いように感じます。

板金加工を工夫したり、防水シートを増し張りして漏水対策をしてるんだろうなぁーなんて、勝手に想像しています。

でも、こうした施工からの漏水を実際に目の当たりにすると、色々と考えてしまいます。

物には、寿命があります。

いずれは交換しなければなりません。

全ての部材が、同じ寿命であれば問題ありません。

でも大抵は、それぞれの寿命が異なるんですよね。

せっかく寿命の長い部品を使っても、寿命の短い部品が問題を起こし、その交換の為に問題の無い部品を取り外さなければならないとしたら、どうでしょうか?

施工の際には、こうしたメンテナンス時の事も考えた納まりが必要だと思います。

また漏水の可能性があると判断された場合の対策にも、色々あると思います。

水が入らない工夫、侵入した水を排出する工夫。

2重3重の対策を取る必要があります。

でも一番の対策は、危ない納まりは採用しない事だと思うんです。

そうすれば、水が入る心配も激減します。

シンプルな納まりであれば、修理も簡単です。

他業種に跨ることも少ないので、費用も少なくて済みます。

「昔の家ならともかく・・・、新築でしょ?雨漏りなんて、あり得ないわよ。」

当然のセリフだと思います。

でも残念ながら、今でも雨漏り事故は起こっているんです。

そもそも、大多数の人は誤解しています。

『水は上から下に落ちるもの』

これ一般的には正解ですが、例外も多々あるんです。

これからお見せするのは、外壁の断面です。

サイディングをイメージすると、いいかもしれません。

イラスト左側が建物外側、右側が建物内側になっています。

〇が正しい納まり、✖が間違った納まりです。

比較してみましょう。

正しい納まりは、壁を伝って落ちた水がそのまま下の壁に落ちています。

下の板は外勾配になっているため、内側に水が侵入する危険性は高くありません。

間違った納まりは、説明の必要もないでしょう。

この違いは、少し難しいかも?

上下の板の継ぎ目部分が狭い空間だと、水が伝わってしまいます。

でも途中に大きな空間があれば、水は伝わりにくいんです。

継ぎ目部分に水切を入れるのも有効です。

✖の納まりでは、いつ内側に水が落ちるか不安でしょ?

今までの〇の納まりでも、外から中に向かって風が吹けば、水は入ってしまいます。

強い風てあれば、水は下から上にだって上がるんです。

板の内外で圧力に差があるかどうかも、漏水のポイントになります。

イラストのような形状にすると、漏水の危険性は低くなります。

一般的には、イラストで茶色の部分に防水シートを施工しています。

万が一、外壁から雨水が侵入しても防水シートが建物への雨水侵入を防止してくれるんです。

でも防水シートだって経年劣化します。

留付けているタッカーの穴から、水が染み入る場合もあります。

施工中に誤って切れ目が入っている事だってあります。

だからこそ、シンプルな納まりがいいんです。

デザイン性も重要だと思います。

でも、長期に渡って漏水の少ないデザインも重要です。

ひとつの例を示します。

建物の屋根形状・軒の出による外壁の雨掛かり範囲を示しています。

青が雨掛かり範囲です。

軒の出を大きくしなければ、雨掛かり範囲は大きくなります。

軒の出を大きくすれば、雨の掛かる範囲は小さくなります。

そもそも雨が掛からなければ、劣化も少ないし、防水部に掛かる負担も小さいでしょ?

こうした点も踏まえて、デザインすべきかと思います。

 

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