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昨今のコロナ禍では、『換気』が話題に挙がることが増えたように感じます。
従来の換気に関する話題と言えば、『換気回数0.5回/hの不要論』だったと思います。
窓を開ければいいじゃん!
機械換気なんて要らないよ!
という話です。
この場を借りて、時々、その必要性を書かせて戴きました。
でもこれって、あくまでもVOCの為の必要換気であって、換気の必要性は他にもあります。
今回であれば、ウイルスを含んでいるかもしれない汚れた空気を、室外に排出するための換気が求められている訳です。
換気と健康、思った以上に密接な関係にあります。
今回は、そんなお話です。
健康のため食事に注意したり、運動する人はたくさんいます。
でも体によい家をつくろうと考える人はあまりいません。
ここでは、意外と知られていない住まいと健康について書かれた話をご紹介したいと思います。
ナイチンゲールの著書『看護覚え書』(1860年)のなかでも、最初の章に書かれているのが「換気と暖房」です。
人の健康のために最も必要なこと、「換気」は間違いなく、そのひとつだと思います。
人は、1日に約15㎏の空気を摂取していると言われています。
15㎏の水や食べ物を摂ることは到底できませんから、私たちはいかに大量の空気を体に取り込んでいるかが分かります。
そしてその空気のほとんどが、毎日、寝起きしている自宅の空気であることも想像できるでしょう。
実際に、人が一生のうちに体に取り込む物質の57%が室内空気(自宅)という調査結果があります。
水や食べ物と比べて何倍もの量を体内に取り込むわけですから、家のなかの空気をきれいに保つことは、健康的に暮らすうえでとても大事なことなのです。
では、家のなかの空気をきれいに保つにはどうしたらよいでしょうか?
「空気清浄機を置く!」と答える人がほとんどかもしれません。
最近では「一家に一台」が珍しくなくなった空気清浄機。
なかには、「一部屋に一台」という家もあるようです。
ここ数年で空気清浄機は目を見張るほど高機能になり、ホコリや花粉、PM2.5などに加え、機種によってはインフルエンザウイルスまで取り除くものもあります。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000597.000007815.html
空気清浄機の利用目的を調査したデータによると、「花粉対策」「ホコリ対策」を目的に利用している方が約半数。
続いて「ウィルス対策」「においの除去」がそれぞれ3割近く。
そのほか「カビ対策」「アレルギー対策」などもあげられています。
多くの人が、空気のなかの汚染物質を取り除くために空気清浄機を利用していることが分かります。
しかし、高性能な空気清浄機(家庭用)をもってしても、除去できないものがあることはご存知でしょうか?
もちろん空気清浄機から出てくる空気を「きれいな空気」と呼ぶことはできますが、家全体の空気の質を整えようと思ったら、「フィルターで汚染物質を除去した空気」だけでは十分ではないのです。
たとえば、会議室や学校の教室など、大勢の人が集まる場所に長時間いると、空気がもわっとして、頭がぼーっとしてくることはありませんか?
そんなときには「換気、換気」といって窓を開けたりするでしょう?
外に出て冷たい風にあたりながら、大きく深呼吸して、リフレッシュすることもあります。
外の「おいしい空気」と室内の「息苦しい空気」、何が違うかというと、二酸化炭素(以下、CO2)の濃度です。
人は、新鮮な空気(酸素)を体の隅々まで送り込むことで、エネルギーをつくり、活力を得ています。
そのため、酸素が減り、CO2が増えた室内にいると、だるくなったり、疲労感が増したりするのです。
具体的には、室内のCO2濃度が3000ppmを超えると、目まいや頭痛など、健康に被害を及ぼすといわれています。
大人が複数集まる会議室などは、すぐに数千ppmになってしまいますから、頭がぼーっとするのは、何も会議が退屈なだけではなさそうです。
なお、屋外のCO2濃度は、およそ300~450ppmで、法律(建築物衛生法)では、居室は1000ppm以下にすることが定められています。
「我が家には、そんな大人数が集まることはないので大丈夫」と、安心することなかれ。
適切な換気が行われていなければ、大人2人が在室している部屋でも、すぐに1000ppmを超えてしまいます。
また、子供は成長に多くのエネルギーを使うため、大人よりも酸素の量が必要になります。
子育て中であれば、家のなかのCO2濃度にも気を使いたいところです。
このように、きれいな空気環境をつくるためには、微量でも気になりやすいホコリや花粉などを除去するだけでなく、酸素濃度を高く、CO2の濃度を低くして、空気の構成比率を外気に近づけることが大切といえます。
換気の重要性、ご理解いただけたでしょうか?
2時間で家中の空気を新鮮空気に入れ替える。
これが0.5回/h換気です。
冷暖房効果を考えて、これを少なくする場合もあります。
でも重要な事は、室内の空気質を下げない事です。
VOCはきれいになっても、CO2濃度が低くなるとは限りません。
ホコリ・花粉・ウイルスは、その有無を確認し、必要であれば換気量を増やさなければなりません。
換気って奥が深いんです。
ただ換気扇を回したり、窓を開ければ良い訳でもありません・・・。
からだにいい家のつくり方
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「FPの家」グループ工務店 著
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