防腐・防蟻処理及び耐久性に関する基礎知識②

昨日は久々の建て方で、手首を痛めてしまいました。

軽く捻っただけなので、すぐに治るとは思いますが、やはり歳には勝てないのでしょうか・・・

さて本題です。

随分前に(財)日本住宅・木材技術センターから発刊された、大規模木造建築物の保守管理マニュアル -材料・施工・維持保全-の中から、その一部を抜粋してご紹介する木材と木材劣化に関する基礎的な知識の共有』シリーズ第2段は、こんな話題です。

④木材には、心材と辺材の区別がある。

樹木は樹皮のすぐ下に形成層と呼ばれる部分があり、そこで水分や養分の移動を行っている。

そして木が大きくなると、内側の部分に木の強さを保つため、赤い部分(心材・赤身)が出来る。

心材は水を通しにくく、また腐りにくい。

心材になる前の外側の白っぽい部分を辺材(白太)と呼ぶが、ここは水を通しやすく心材に比べて非常に腐りやすい。

⑤木材の材面には、木口面・柾目面・板目面の区別がある。

樹木を水平に切断した面(木口面)を見ると、年輪が明瞭になっている。

この面は水分を上下に送るパイプ(仮道管・道管)を切断しているので、水が通りやすく微生物や薬剤の通りも良いので、木口面は他の面よりも腐りやすく、薬剤が浸透しやすい。

樹木の中心を通るように縦に切断すると、年輪がほぼ平行になり、この面を柾目面という。

また中心を避けて縦に切断すると山形の模様が現れるが、この面を板目面という。

水の通りやすさ(腐朽のしやすさ)は、木口面>柾目面>板目面の関係となる。

⑥木材の主要な構成成分として、セルロース・ヘミセルロース・リグニンがある。

木材は炭素の固定で出来た有機物であり、その主要な成分は、細胞壁を構成するセルロース・ヘミセルロース及びリグニンと、心材など樹木の腐りにくさを担う成分(耐朽性成分:油脂・樹脂・精油など)などである。

樹木の上下方向の骨格に当たるものはセルロースで、その周りを補強しているのがヘミセルロース、それらを繋ぎ合わせる接着剤の役目を果たしているのがリグニンである。

木材を腐らせる微生物(腐朽菌)は、主にセルロース及びヘミセルロースを食う菌(褐色腐朽菌)と、主にヘミセルロース及びリグニンを食う菌(白色腐朽菌)の2つに大きく分けられる。

⑦樹種により密度が異なる。

木材は空隙を多く含んでいるので、密度は比較的小さいものが多い。

理想的に木材の実質だけを考えると密度は1.5g/㎤(この値を比重で表したものを真比重という。)となるが、実際の木材では、例えばスギの場合、約0.4g/㎥で約3倍の空隙を持つ事になる。

空隙が多いと水の浸透がしやすくなり、腐朽しやすいので、一般に腐朽のしやすさは密度に反比例し、密度が低ければ腐朽しやすく高ければ腐朽しにくい。

⑧木材中の水分には、自由水・結合水の区別がある。

木材の含水率は、水分を含まれない木材重量(全乾質量)に対する含有水分の%を言い、次式で表される。

木材の含水率(U)=(測定時の木材重量(m1)-乾燥後の木材重量(m0))÷乾燥後の木材重量(m0)×100(%)

図付-1に示す通り、木材中の水分は樹木を切った時(生材)は、水分が木材中の空間に充満している。(自由水)

その後、一定期間の乾燥により木材中の水分が失われ、細胞壁の繊維のみを濡らす状態(繊維飽和点、樹種によって異なるが28%程度の含水率)になる。

この状態では水分は木材中の繊維の中にしまわれている(結合水)ので、触っても濡れている感じは全くない。

更に乾燥すると結合水が失われて、徹底的に乾燥すると繊維からも完全に水分が失われる。(全乾状態)

腐れについては付近に種(腐朽菌)が無くても、繊維飽和点以上の水分によって起こる。

腐朽菌が付近に拠点を持って入れば、20%以上の含水率でも腐朽が始まる。

通常は腐った木材を近づけないのが普通なので、実用的には木材に水蒸気を与えただけでは腐らず、水の形で過剰の水分を与えなければ腐らない。

含水率でいうと50%以上になると、腐れがひどくなる。

続く・・・。

 

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