駆除・防除・害虫・益虫

一日の最高気温が25℃以上の日を夏日、30℃以上の日を真夏日、35℃以上 の日を「猛暑日」というそうです。

今日の練馬・板橋の気温は32.7℃/湿度46%(15時現在)、今年最初の真夏日になるのかな?

暑かったですねー、間違えてしまったイメージシートを張り替えているうちに、汗ダクになってしまいました。

中々、いい感じでしょ?

『FPの家 K邸』

今日は防腐・防蟻処理を行いました。

弊社では『木材劣化対策』と呼んでいますが・・・。

防腐とは、木材腐朽菌による建物の被害を防ぐ事。

そして防蟻とは、シロアリによる建物の食害を防ぐ事を言います。

弊社の施工区域であれば、対象はヤマトシロアリとアメリカカンザイシロアリに限定されます。

シロアリに対して「駆除」とか「防除」という言葉を使う場合もありますよね?

駆除とは、害虫をただ『追い払う』という事。

そして「防除」とは、文字通り『防ぐ』+『排除する』事になります。

つまり、今いる害虫を退治するのが「駆除」で、今いる害虫を退治しつつ、これから発生・侵入するであろう害虫を防いでいくのが「防除」になる訳です。

一般的にご家庭で使用される防除剤といえば、殺虫剤・防虫剤・忌避剤・誘引剤です。

また害虫とは、人や生活環境を直接・間接的に害する虫を言います。

虫にはそれぞれの生態があります。

益虫か害虫かは私達の尺度によるものであり、生活水準や社会的環境などにより、その対象は変わってくるでしょう。

今現在は害を与える対象により、上図のように分類しています。

人に害を与える衛生害虫

食物に害を与える食品害虫

人を不快にさせる不快害虫

衣類の害虫

木材の害虫

動物外部寄生虫

農業害虫など・・・

そして私達工務店が対象とするのは、木材害虫と不快害虫です。

でも新築であれば、駆除はありません。

将来、近づくかもしれないシロアリに備えて予防する。

だから防除ではなく、防蟻処理という訳です。

一般的には上表のように、たくさんの薬剤が使われています。

でも、その比率には大きな偏りがあるんです。

防蟻剤に占める『合成殺虫剤』の割合は約95%、残り1%がホウ酸になっているそうです。

そして合成殺虫剤の内訳は、こうなっています。

ネオニコチノイド系の比率が、極端に高いんですよね。

ネオニコチノイド系殺虫剤は、各国において下例の通り、広範囲に使用されています。

一般家庭のガーデニング用から農業用

シロアリ駆除

ペットの虱・蚤取り

ゴキブリ駆除

スプレー殺虫剤

木材防腐剤 など

天然物であるニコチン・ニコチノイドは古くから殺虫剤として使われていました。

でも人畜に対する毒性が高いという問題点がありました。

そこでこれらを元に毒性を低減すべく開発されたのが、ネオニコチノイド系殺虫剤です。

ネオニコチノイドは、シナプス部分の後膜に存在する神経伝達物質の受容体に結合し、神経を興奮させ続けることで、昆虫を死に至らしめるそうです。

また、これまで各国で主に使用されてきた有機リン系殺虫剤と比べ、人体や哺乳類・鳥類・爬虫類への安全性は高いと言われていますが、一方で生態系への影響も懸念され、欧米では使用禁止の流れに傾いているようです。

そして、ネオニコチノイド系殺虫剤に次ぐのがピレスロイド系殺虫剤です。

蚊取線香の原料使用されていたシロバナムシヨケギク(除虫菊)の花にはピレトリン・ジャスモリン・シネリンが含まれ、これらの成分が殺虫効果を示しています。

これらの成分とよく似た作用・構造の化合物をまとめて、ピレスロイド系といいます。

虫の中枢神経に作用して麻痺させる効果があります。

それぞれの製品名と特徴を挙げた表を挙げておきますので、興味のある方はご確認ください。

ネオニコ系薬剤は非忌避性/遅効性が特徴です。

そしてピレスロイド系薬剤は忌避性/即効性が特徴となります。

それぞれに適した使い方があると思います。

いずれも効果は3~5年と短いんですよね・・・。

人体や環境に対する影響も心配だし・・・。

そこで弊社は、ホウ酸を採用する事にしました。

10年ほど前の話です。

でもここ数年は、より濃度の高いホウ酸を採用しています。

現場に置かれた、補修用ホウ酸水溶液を撮ってみました。

人体や環境に対する影響が少なく、効果が長続きするホウ酸ですが、水に濡れると流れてしまい効果を発揮する事が出来ません。

だから雨に濡れるのが、一番怖いんです。

そこで、必ず雨養生を行います。

それでも雨に濡れた時に、上から散布するためのホウ酸水溶液がコレなんです。

また、濃度を確認するための試薬もあります。

散布が終わったら、試してみようかな・・・。

今日も、2名で施工しています。

1名でいいんじゃないの?

という方も多いと思います。

実は躯体への散布だけでは無いんです。

使用する間柱や床合板、野縁等にも、散布して貰います。

また基礎を貫通する給水管回りには、ボレイトフィラーを充填します。

排水管回り。

全ての巾止め金具回りに明いた隙間にも、しっかりと充填します。

白いパテみたいな物が『ボレイトフィラー』です。

これにはホウ酸が含有されている為、防蟻効果が期待できます。

また経年で硬くなることもありませんから、隙間が出来ることもありません。

いつまでも、シロアリの侵入を防いでくれる訳です。

こうしたシロアリや腐朽菌の被害を食い止めるための対策を、可能な限り行うからこその『木材劣化対策工事』なんです。

写真には、木片やおが屑が写っています。

こうした『シロアリにとっての食品』も、きれいに掃除しなければなりません。

当たり前ですよね。

おいしい匂いに呼び寄せられたりしたら、大変でしょ?

ちなみに害虫の対義語が益虫です。

花を枯らすアブラムシは害虫、それを食べるテントウムシは益虫と言う訳です。

 

1階で木材劣化対策工事をしている間、3階では屋根下地が進められていました。

既に屋根タルキ&隅木が取付けられています。

小屋組は、こんな感じです。

タルキ止め金具も設置完了。

今回は、天井裏に厚さ400mmのセルロースファイバーを吹き込む計画です。

写真は、桁回りのタルキ間に充填する為の断熱材です。

桁回りはイラストのように、所定の吹込み厚さが確保出来ません。

そこで、ボード断熱材を付加するようにしているんです。

吹き込んだセルロースが、通気層に零れる心配も無くなりますし・・・。

こんな感じに設置します。

 

裏から見ると、こんな感じです。

この後、野地合板を張り始めます。

明日の午前中には、終わる予定です。

タラップも設置しました。

少しづつ、でも着実に現場は進んでいます。

 

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