防腐・防蟻処理及び耐久性に関する基礎知識⑥

今日はアセットフォーの定休日。

このところ、急に暑くなりましたよね。

奄美に続き、沖縄も梅雨入りしたそうです。

関東も早いのかな?

空梅雨も困るけど、建設業界にとって降り過ぎも困ります。

現場が進みませんから。

昼は降らずに、夜だけ降ればいいのに・・・。

さて本題です。

随分前に(財)日本住宅・木材技術センターから発刊された、大規模木造建築物の保守管理マニュアル -材料・施工・維持保全-の中から、その一部を抜粋してご紹介する木材と木材劣化に関する基礎的な知識の共有』シリーズ第6段は、こんな話題です。

④シロアリの生育条件

シロアリも生物であるので、生育していくためには腐朽菌と同様に酸素(空気)・温度・湿度及び水分並びに養分が必要不可欠であり、これらのうちどれか一つが欠けても生きていく事はできない。

・酸素

シロアリは空気中から酸素を摂取するが、流動する空気の中に身を晒すことを嫌う。

そのため営巣場所や加害場所として空気の動き少ない箇所を選び、活動場所や移動通路は蟻土で覆ったり、食害部分の最外層部分を残したりして、加害場所や自分自身を直接空気に晒さない工夫をしている。

また巣や加害場所・蟻道などが破壊されると、直ちにそれを感知して修復する性質がある。

・温度

シロアリは元来熱帯・亜熱帯に分布する昆虫なので、他の多くの昆虫のように冬季に休眠する性質がなく、気温に対して敏感な生物である。

ヤマトシロアリの場合は、6℃内外で活動を始め12℃を越すと活発になり、最適気温は28℃前後と言われている。

冬季は地中へ移動し、夏季の高温時にも地中や涼しい場所へ移動する。

一方イエシロアリは、先にも述べた通り1月の月平均気温4℃以上、最低平均気温0℃以上のところが北限とされているが、暖房のある場所では更に北にも生息していると言われている。

活動の最適気温は30~35℃で、ヤマトシロアリよりも高温を好む。

・湿度及び水分

シロアリは直射日光に晒されると数分後に死んでしまう。

ヤマトシロアリは常に湿潤な木材を好み、その材が乾燥してくると他へ移動する。

イエシロアリは水を運ぶ能力がある為、蟻道内や加害部分なども湿潤な状態に保ち、巣内も高湿な状態に保っている。

従って土中に埋没した木材や地表面上に置かれた木材は、好適な環境となってシロアリが侵入しやすい。

しかしダイコクシロアリやアメリカカンザイシロアリのような乾材シロアリの仲間は、乾燥に強く気乾状態の木材中で生活出来る為、ヤマトシロアリやイエシロアリが地中から建物内に侵入するのに対して、乾材シロアリは直接建物内の気乾状態にある木材を加害する事が出来る。

・養分

シロアリは雑食性で、木材の他樹木・農作物・紙・繊維・皮革類など広範囲のものを食害する。

いずれにしてもセルロース・ヘミセルロースが養分になる。

セルロース・ヘミセルロースは、消化官中の単細胞の鞭毛虫が分泌する酵素によって分解され、これがシロアリの消化管壁から吸収される。

上記の4要因は生育上不可欠な要因であるが、それ以外に生育傾向を左右する要因として土質が挙げられる。

イエシロアリは砂質土壌を好むとされているが、これは巣が大きくなるにつれ必要となる巣内部の湿度調整やガス交換に、砂質土壌が向いている為と考えられている。

またヤマトシロアリは粘度分の多い土壌を好むが、これは特にヤマトシロアリが乾燥を嫌う事と関連していると考えられている。

続く・・・。

 

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