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明日は天気が崩れるそうです。
でも今日の練馬・板橋は湿度が高いという予報も出ています。
作業をするには辛い一日なのかな?
青空であれば、暑くてもガマンします。
でも曇り空のくせに、ジメジメ暑いのは我慢できません・・・。
『FPの家 K邸』
現場近くに行くと、「ドスンドスン」という大きな音が辺りに響き渡っていました。
そう、今日は『FPウレタン壁パネル』の施工日なんです。
予め、近隣のお宅には『お詫び&ご協力のお願い』を配布してあります。
施工の際に結構大きな音が出るので、事前にお知らせしておかないとびっくりしちゃいますから・・・。
これが『FPウレタン壁パネル』です。
硬質ウレタンフォームを木枠の中に充填した断熱&構造パネルとなります。
専用工場で注文生産されたオーダー品の為、現場で加工する事はほぼありません。
写真のように、筋交いの入ったパネルもあります。
熱伝導率は0.020W/㎡・K。
木枠を躯体に留め付けることで、他のボード系断熱材よりも、より堅固に固定する事が出来ます。
また所定の固定方法を行えば、筋交いや耐力面材を使用しなくても『壁倍率2.1倍の耐力』を発揮する事が国交省により認められています。
暑さ・寒さに強くて、地震も安心
また水に強いのも特長のひとつです。
これが、緑のパネルです。
以前まで採用していたベージュ色のパネルとは、ひと味違います。
えっ、どこが違うかって
今日は、その話をしたいと思います。
まず知って欲しいのが、硬質ウレタンフォームの事。
従来の硬質ウレタンフォームは、発泡剤にハイドロフルオロカーボン(HFC)を主に使用していました。
そして、このHFCは地球温暖化効果が高いという問題を抱えていた為、脱HFCが求められていました。
これを受けて使われるようになった発泡剤がCO2です。
水発泡ウレタンとも言われていました。
オゾン層を破壊することなく、地球温暖化効果も低いのが特徴です。
でもフロン発泡に比べて、熱伝導率が大きいのが問題でした。
ちなみにHFCウレタンの熱伝導率は0.021W/m・K、それに対して水発泡ウレタンの熱伝導率は0.024W/m・Kとなります。
厚さ105mmであれば、その熱抵抗値は5.000に対して4.375ですから、その違いは大きいと思います。
この問題を解決すべく、ウレタンフォーム工業会が普及・促進を図ったのが『発泡剤ハイドロフルオロオレフィン(HFO)』を用いた硬質ウレタンフォームです。
発泡剤によるオゾン層破壊係数と地球温暖化係数の比較を挙げておきます。
オゾン破壊係数・・・大気中に放出された単位重量の物質がオゾン層に与える破壊効果を、CFC-11(トリクロロフルオロメタン、CCl3F)を1.0とした場合の相対値として表す係数です。
地球温暖化係数・・・温室効果ガスにどれだけの温暖化能力があるかを示す指標です。二酸化炭素を1とした場合の相対値として、他の気体の影響力の大きさを知ることができます。
ここで云うCO2を発泡剤とした硬質ウレタンフォームが、以前採用していた『ベージュ色のFPパネル』です。
そしてHFOを発泡剤とした硬質ウレタンフォームが、『緑色のFPパネル』になります。
オゾン層を破壊することなく、地球温暖化効果も低いのが特徴です。
そしてフロン発泡に比べて、熱伝導率も小さくなりました。
熱伝導率0.020W/m・Kですから、厚さ105mmであれば熱抵抗値は5.25になります。
HFO発泡ウレタンの厚さを105mmとして、同じ断熱性能にする場合の厚さをそれぞれのウレタンで示してみましょう。
HFO発泡ウレタン:105mm(熱抵抗値:5.250)
C02発泡ウレタン:126mm(熱抵抗値:5.250)
HFC発泡ウレタン:110mm(熱抵抗値:5.238)
HFOウレタンの特長は断熱性能の向上だけではありません。
以下、建築技術刊/断熱建材ガイドブックからの抜粋となります。
硬質ウレタンフォームの熱伝導率の経時変化は、フォーム密度・厚さ・スキン層状態および使用表面材などの断熱材自体の要因と温度・湿度などの外的条件に影響されます。
いずれも気泡内ガス組成の変化の影響です。
発泡直後、気泡内ガスは発泡剤・炭酸ガスおよび空気からなります。
これをカットした状態で空気中に放置すると、雰囲気ガスと気泡内ガスが気泡膜を通して、気泡内ガス組成が雰囲気ガスと平衡に達するまで相互に拡散します。
この場合、透過性の大きい炭酸ガスは早期に気泡内から外部に拡散し、次いで空気が徐々に気泡内に入ってきます。
これに伴い気泡内ガス組成が変化し、熱伝導も変化します。
これがCO2発泡ウレタンの、置換による熱伝導率の経時変化(経年劣化)です。
しかし発泡剤『ハイドロフルオロオレフィン(HFO)』は透過性が非常に小さいので、気泡外に拡散することは皆無に等しく、これを使った硬質ウレタンフォームは熱伝導率の経時変化が小さくなります。
ハイドロフルオロオレフィン(HFO)とは、炭素(C)・水素(H)・フッ素(F)を含み、分子内に炭素一炭素の二重結合を有するフッ素系化合物です。
大気寿命が非常に短いため、ゼロODPと低GWPを両立する環境に極めて優しい物質です。
これが、弊社が緑のFPパネルを採用する理由です。
では、現場の状況を見てみましょう。
朝一番、1階床に充填するFPパネルが搬入されています。
弊社も以前は、合板の貼られた床パネルを採用していました。
でも最近は、合板の無い『ESパネル』を土台-大引き間に充填し、その上に実付ネダノン合板を張る仕様に変更しています。
パネルを上に載せて、嵌め込むだけです。
このパネルも、全て注文生産品です。
土台-大引き間にぴったりと嵌るように作られているので、掛矢を使いながら叩き入れていきます。
パネルと土台の面が揃ったら、ビスで留め付けます。
ちなみに弊社では、こんなビスを使っています。
リ・ユースネイル、一般には流通していない特殊なビスです。
頭には四角い穴が明いているので、こんなビットを使います。
普通の十文字ビットと違い、頭が潰れることが少ないのが特長です。
ロール状になっているので、釘打ち機に入れて使います。
えっ、釘打ち機という方もいると思います。
実は釘打ち機でバンバン撃てて、ネジのように抜き差し出来る不思議なビスなんです。
木枠に対して45°の角度で打ってもらえれば、OKです。
何で釘にしないの?釘の方が安いでしょ
という方もいる筈です。
確かに、釘の方がはるかに安くなります。
釘だと、将来パネルを交換する際に抜くのが大変でしょ?
このパネルは経年劣化が少ないので、リフォームや建て替えの際に再利用が可能です。
以前に23年前に建てた家の建て替えを行った際にも、古いパネルをそのまま再利用させて戴きました。
その当時は釘で留めていたので、外すのが本当に大変だったんです。
それに、パネルの出入りを直すのにもビスの方が楽でしょ?
このビスに出会う前は、コースレッドを使っていました。
留付けに時間が掛かるんですよね・・・。
でも、リ・ユースネイルなら簡単です。
効率が一遍に上がりました。
どんどんと、作業は進みます。
パネルを入れ終えれば、後は実付合板を上に載せて釘で留めるだけ。
木枠をビスで固定する為、断熱材が下がる事もありません。
いつまで経っても、断熱材が床板にぴったりくっ付いているので保温性バッチリです。
写真は、階上のベランダ床部分に充填したFPパネルです。
これも、それぞれの大きさに製作された物をただ入れただけです。
後は、リ・ユースネイルで留めるだけ・・・。
最後に接合部をアルミテープで留めれば、気密処理も完了です。
階上では、壁パネルの施工も行われています。
パネル図面を見ながら、パネルに掛かれた品番を確認しつつ嵌め込んでいきます。
但し、楽な作業ではありません。
あまりにもピッタリ作られているため、掛矢で叩き入れなければなりませんから・・・。
その度に「ドスン、ドスン」と大きな音が出ます。
早く終わらせないと、クレームが来ちゃうかも?
いつもヒヤヒヤ・ドキドキのひと時です。
13時現在の気温は29.9℃、湿度は26%しかありません。
全然ジメジメしてないじゃん!
天気予報、外れたのかな・・・。
posted by Asset Red
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