浮遊真菌濃度と健康リスクの関係③

相変わらず天気が安定しません。

スッキリと晴れた青空を見たいですね。

昨日は、換気システムのフィルターを清掃しました。

換気システムは、メンテナンスが命です。

フィルターが目詰まりしていれば、想定された給排気量を確保する事が出来ません。

隙間からの給気が増え、換気経路も変わってしまいます。

その結果、換気そのものの効果を得る事が出来なくなってしまいます。

定期的なフィルター清掃って、重要なんです。

 

さて本題です。

数回に分けて浮遊真菌濃度と健康リスクの関係に関する記事をご紹介していますが、今回が最終回となります。

d.要求される環境性能・設計指針

①要求される環境性能

下表にヨーロッパのあるワーキンググループ(EC Concerted Action 613)が提案した室内浮遊真菌汚染レベルによる分類を示す。

表中の値は健康への影響に基づくものではないが、以下の点も合わせて示されている。

●病原性真菌・毒素を生産する真菌の存在は好ましくない。

●加湿器内・ダクト内およびカビている天井に真菌が顕著に生息する場合、空中浮遊真菌濃度の如何に関わらず改善処置が必要。

●クロカビまたはススカビ以外の1種類の真菌が50cfu/㎥(cfu:colony forming unit/集落形成単位)以上であれば、更なる調査が必要。

●室内に数種類の真菌が存在し、しかも真菌藻が外気中と同じであれば、150cfu/㎥まで許容できる。

●夏季において室内の主要な真菌がクロカビで、または他に3種類真菌がある場合、500cfu/㎥まで許容できる。

日本建築学会では住宅内の浮遊真菌濃度の維持管理基準を1000cfu/㎥以下、ただし1000cfu/㎥を超えた場合I/O比(室内と屋外の濃度比であり、室内に汚染源があるか否かの判断指標である。)は2以下と定めている。

下図に筆者らが行った調査の結果を示す。

学童の住環境とアレルギー性疾患の関係を明らかにするのが、調査の目的であった。

図中のケース群は少なくても1つのアレルギーに関する症状を有する住宅、コントロール群は症状の少ない住宅である。

コントロール群の住宅内の浮遊真菌濃度が全て1000cfu/㎥以下であるのに対して、ケース群の住宅内では浮遊真菌濃度が1000cfu/㎥を超える場合が見られた。

以上の事を総合すると、居住環境において要求される最低限の環境基準は1000cfu/㎥であると考えられる。

また、それを達成するためにも室内温湿度の制御が重要である。

一方、カビの増殖速度を評価するものとしてカビ指数がある。

カビがどれくらい発育しやすい環境かを測定するもので、下図に示すカビセンサーを調査箇所に設置(環境曝露)し、一定期間後に回収することで、菌糸長さと曝露期間を基にカビ指数を計算することが出来る。

上表にカビ指数による環境評価と対策例を示す。

なお居間のカビ指数が18以上の全住宅で、児童がアレルギーを発症していたと言う調査結果が報告されている。

②設計指針

●室内浮遊真菌濃度は1000cfu/㎥以下とする。但し、これを超えた場合I/O比は2以下とする。

●クロカビ以外の1種類の浮遊真菌が50cfu/㎥を超えない。

●1日の相対湿度が70%以上となる頻度が30%を超えない。

●1か月平均のカビ指数が18を超えない。

以上です。

健康に暮らすための住まい住まい方エビデンス集

健康維持増進住宅研究委員会/健康維持増進住宅研究コンソーシアム 編著

一般社団法人日本サスティナブル建築協会 編集協力

技報堂出版 刊

より、一部を抜粋して転載させて戴きました。

個人的な話ですが、どうやら私は軽度のカビアレルギーを持っているらしい・・・。

エアコンの清掃をしていると、しばらく鼻水が止まりません。

くしゃみを連発することになります。

リフォームの依頼を戴き、下見に行く事もありますが、カビの生えた部屋に行けば、涙が止まらなくなります。

冗談半分に、お客様に人間カビセンサーと呼ばれた事もある位です。

だからこそ、カビ(真菌)については色々と知りたいんですよね。

書店を探す事も多いんですが、あまり見掛けません。

あったとしても、専門過ぎて難しい・・・。

今回も、その口です。

キーボードを叩きながら、何回も前に戻って文章を確認していました。

真菌って、すぐ近くに漂っているんですよね。

でも近親感は湧きません。

ひたすら嫌悪感が湧くばかり・・・。

実物も書籍の内容も厄介なんです・・・。

 

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