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今日の練馬・板橋の空気は爽やかですよ。
14時現在の湿度は28%、気温は31.8℃もあります。
でも、いい感じに風が吹いているんです。
春の空らしく、雲の多い晴天といったところでしょうか。
『FPの家 K邸』
朝から、外壁に透湿防水シートを張っています。
銀色の紙のようなものが『透湿防水シート』です。
弊社では、デュポン社のタイベックシルバーを採用しています。
透湿防水シートの機能をイメージしたイラストをご覧ください。
図中『メンブレン』と書かれたものが透湿防水シート(以下、シート)です。
そこには無数の小さな穴が明いていて、そこから壁内の水蒸気を逃がしてくれるようになっています。
これを透湿と言います。
でも、その穴の大きさは水滴よりも小さい為、雨水の侵入を防いでくれます。
これを防水と言います。
壁内の水蒸気は通すけど、雨の水は通さないので、このシートを『透湿防水シート』と呼ぶ訳です。
シートには、国産品もあれば外国産もあります。
どちらかと言えば国産品を採用しがちな私ではありますが、ことシートに関しては国産品を採用したいとは思えません。
えっ、別にブランド志向ではありません
今回は、このシートを選ぶ理由を書きたいと思います。
(資料の都合上、遮熱シート同志の比較になる事をご了承ください。)
国産品の場合、写真のように、ポリエチレン繊維の上に多孔質フィルムをラミネートしています。
つまり、表面の防水フィルムで防水性能を担保している訳です。
でもタイベックの場合は、ミクロン単位の繊維がランダムに積層され、耐久性に優れた分厚い防水層を形成しています。
この防水層の厚さの違いが、経年耐久性において大きな差となります。
加えて紫外線劣化防止剤を配合しているため、外装材が施工されるまでの劣化対策にもなります。
また単一層全体で防水性を担保するため、ラミネート品とは違い、ひっかき傷やテープ剥がれに強いのも特長のひとつです。
その為、タイベックは『信頼の20年保証』を導入しています。
製品にも、キチンと謳ってありました。
実棟サンプリング試験においては、既に30年相当の耐久性を確認されているそうです。
でも残念ながら、国産品の場合は10年保証・・・。
写真は、築17年を迎えた弊社OB宅のシートです。
漏水が起こり、外装材を剥がしてみると、写真のような状況でした。
表面のラミネートが剥がれ、ポリエチレン繊維がガーゼのようになっています。
シートを張り替え、外装材を再施工して対応しましたが、まさかこんな事になっていようとは・・・。
でも、国産シートの防水保証は10年しかありません。
築17年目にこれじゃ、何の問題もないんですよね・・・。
ちなみに、白いタイベックシートよりも銀色のタイベックシートの方が、防水性は高くなっています。
そして、最近問題になっているのが『防蟻剤問題』です。
最近と言いましたが、実は随分と前から業界内では密かに囁かれていた問題なんです。
外壁合板を施工する現場が増えた事は、皆さんもご存知の事と思います。
木質系の面材を使えば、当然防腐・防蟻を目的とした薬剤を現場で塗布する事になります。
実は、この薬剤に含まれている『界面活性剤』が大問題なんです。
界面活性剤は、水の表面張力を破壊する事で木材内部に薬剤を染み込みやすくする添加剤です。
木材の耐蟻・耐朽性を高めるのであれば、木材中の残留濃度を高める必要があります。
その為に必要なのが、界面活性剤なんです。
でも上イラストに書かれているように、界面活性剤がシートの防水性も無くしてしまいます。
防水性の無くなったシートなんて、何の意味もありません。
さりとて界面活性剤を使わなければ、建物の耐久性を損なうことになります。
でもタイベックシートであれば、従来のシートをはるかに上回る防水性を担保できるんです。
現場に入った製品にも、チャンと書いてあります。
それでも、100%ではありません。
そこで弊社は、外壁面材に防蟻処理の不必要な非木質系の面材を採用する事にしました。
そうそう、ここで銀色のタイベックと白いタイベックの違いを簡単に書きたいと思います。
白と銀色の違いは、遮熱性にあります。
えっ、遮熱性
と言う方も多いと思います。
実は、ある程度の断熱性能をもった建物であれば、遮熱シートの効果が無いことが分かっています。
だから、わざわざ高いお金を払って遮熱性を求めても意味はありません。
でも、シルバータイベックが熱を通しにくいのも確かです。
だから、これを採用する事で違うメリットを得る事が出来ます。
そのメリットは2つあります。
①銀色のシートで反射された熱は通気層内の温度を高くします。
この時、通気層は壁内に比べて負圧になる為、壁内の水蒸気をより排出させる事が可能です。
つまり、壁内結露を防ぐ効果が高いんです。
②そして、同じ原理で通気層内に侵入した水を素早く乾燥させることが出来ます。
つまり、防水性を高める効果が高いんです。
でも、遮熱性を高める目的でコーティングされたアルミが劣化しては意味がありません。
アルミニウムは、酸化劣化しやすい素材なんだそうです。
酸素や湿気がアルミに触れれば、性能低下してしまう事になります。
そこでタイベックでは、繊維一本一本に抗酸化コーティングを施しています。
国際特許申請中らしいです・・・。
だから国産遮熱透湿防水シートと比べると、耐久性が違います。
こんな実験結果があります。
装置下部の水槽温度を80℃に設定し、発生する水蒸気がアルミニウム面に当たるように設置した実験です。
4時間後の結果です。
国産品は、アルミ面に十分な劣化防止加工が施されていない為、劣化しました。
でもタイベックシルバーは、抗酸化コーティングのお陰でアルミ面に変化は見られませんでした。
また、こんな実験結果もあります。
シートに雨水が付着したまま外装施工される事や、外装施工後も雨水がシートに付着する可能性がある事を想定し、水分を付着させた状態で恒温恒湿槽に放置し、水分と熱に対する耐久性を確認する実験です。
4時間後の結果です。
銀色だった国産シートは、表面が白っぽく退色しアルミ部分に変化が見られます。
一方タイベックシートは、表面に見た目の変化はなく、優れた耐久性を示しました。
タイベックシルバーの遮熱耐久試験でも、認められています。
日本国内で最も高温多湿となる地域での通気層内を想定し、温度65℃/湿度93%の環境で10年経過後と同等の状態になるように行った劣化促進結果の結果です。
赤外線反射率の変化は極わずかで、シートおよびシート表面にも劣化は、ほぼ確認されませんでした。
これが、国産品を使わない理由です。
シートの施工は、今日中に終わる予定です。
サッシ回りの防水テープ処理も同時に行います。
一方室内では、天井野縁の施工が行われています。
最上階はセルロースファイバーによるブローイングを行う為、防湿・気密シート施工の為の下地も同時につくっています。
電気配線も、同時に進められています。
天井から壁の中に配線を通している所を撮ってみました。
念のため、かいてきます。
配線を通す為に、躯体に穴を開け貫通させる事はしません。
配線を通しているのは、防湿シートの受け材です。
そして穴の回りには、ウレタンフォームを充填します。
電気配線が終われば、防湿シートの施工です。
換気システムの部材が入って来ました。
早速、本体を取付けます。
3階建てって、懐が無いので配管が難しいんですよね・・・。
でも6月14日の『構造現場見学会』に向けて、現場は急ピッチで進みます・・・。
posted by Asset Red
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