住宅と健康寿命

ナイスビジネスレポート(2020.05.01付)に、慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科教授伊香賀俊治氏の特別寄稿が掲載されています。

そのタイトルは『住宅と健康寿命』です。

実に興味のある内容だと思いませんか?

健康寿命の説明はいらないですよね?

上図の赤が健康寿命です。

そして青が寿命です。

赤と青の間の期間が、病院にお世話になる期間(日常生活に制限のある期間)になります。

この図の赤と青を限りなく近づければ、健康で長生きできることになります。

住宅と健康寿命の関係・・・、気になるでしょ?

その一部をご紹介したいと思います。

世界保健機関(WHO)は2018年11月に「WHO住宅と健康ガイドライン」を発表し、住まいの寒さ対策(冬季室内温度18℃以上)や住宅新築時と改修時の断熱工事・暑さ対策(室内熱中症)・住宅の安全対策・機能障害者対策などの推進を各国に勧告しました。

なおWHOからの勧告内容は以下の通りです。

1.住まいの過密対策(強く勧告)

2.住まいの寒さと断熱対策

 冬季室温18℃以上(強く勧告)

(小児・高齢者には、もっと暖かく)

 新築・改修時の断熱(条件付勧告)

3.住まいの暑さ対策(条件付勧告)

4.住まいの安全対策(強く勧告)

5.住まいの障害者対策(強く勧告)

一方、厚労省が策定した日本の健康対策「21世紀における第2次国民健康づくり運動」には、医学的なエビデンスが十分でないとして住環境に関する対策が含まれていません。

そこで国交省は、厚労省と連携して2014年度から「スマートウエルネス住宅等推進調査事業(以下SWH全国調査)」に取り組んでいます。

このSWH全国調査は、断熱改修等による生活空間の温熱環境の改善が、居住者の健康状況に与える効果について検証すると共に、成果の普及啓発を通じて「健康・省エネ住宅」の整備を推進し、国民の健康確保および地域生活の発展を図ることを目的としています。

~中略~

なお断熱改修前後調査では、年間で調査した断熱改修前の住宅(2094軒)について部屋ごとの冬季平均室温数分布を作成しています。

これによると、居間の在宅中の平均室温は16.7℃で、WHOの冬季室内温度の勧告値である18℃を満たさない住宅が全体の6割を占めています。

更に、寝室における就寝中の平均室温がは12.6℃、脱衣室における在宅中の平均室温は12.8℃で、いずれも18℃未満だった住宅が9割を占めています。

このように、調査対象のほとんどの住宅が、WHOの勧告値18℃以上を満たしていない状況でした。

この後、いくつかの研究結果が紹介されています。

ご興味のある方は、是非ご一読ください。

 

ここで紹介されているのが、この冊子です。

こんな内容なんだそうです。

持続可能な公平な未来のために健康的な住宅を促進するための推奨事項

住宅条件の改善は、命を救い、病気を防ぎ、生活の質を高め、貧困を減らし、気候変動の緩和に役立ちます。

住宅は、都市の成長、高齢化、気候変動の観点から、健康にとってますます重要になっています。

WHOの住宅と健康のガイドラインは、安全でない標準以下の住宅による、健康への負担を減らすための実践的な推奨事項を提供する最新の証拠をまとめています。

そして、ガイドラインの4章には、以下のように書かれてます。

左は原文の抜粋です。

冷気は肺炎を起こし、循環を阻害し、喘息発作の症状や呼吸器疾患の悪化も引き起こします。

血管の収縮の誘発、虚血性心疾患を引き起こす可能性もあります。

心血管疾患にかかる率および死亡する率は、夏よりも冬の方が高くなります。

寒い室内は健康に悪影響を与えます。

健康への負担として、特に高齢者は呼吸器疾患と心血管疾患。

子供は呼吸器疾患が挙げられます。

室温18℃未満の住宅に住んでいる人は、18℃以上の家に住んでいる人よりも健康結果は悪くなります。

そして、断熱強化された住宅に住む事で結果は向上します。

室温は最低18℃以上必要です。

そして高齢者・子供・病気(特に心肺疾患)の人は18℃よりさらに暖かくする必要があります。

翻訳間違いについては、ご勘弁を・・・。

とても重要な事が書かれているでしょ?

でも、これって2年前に書かれた本なんですよね。

そして、伊香賀先生の取組みに至っては、もっと前から行われています。

その割に、大きく報道されていません・・・。

勿論、私は知っていました。

事あるたびに、その研究結果を拙ブログで紹介していたんです。

何を今更・・・、って感じさえします。

でも、この記事が多くの人の目に留まれば・・・。

と期待しています。

残念ながら、現行の省エネ基準をクリアした家も、WHOの勧告値を超える住環境を確保する事は出来ません。

それでも、適切な暖房を行えば(省エネではないものの)勧告値を上回る事は可能です。

要は、この事実を周知徹底し、全ての国民が徹底的に実行すれば良い訳です。

でも、これを実施すると、世界に約束した地球温暖化対策を守ることは出来ません。

どっちを取ればいいんでしょうね?

もっと早くから、省エネで健康に良い家をつくる工夫をしていれば良かったのに・・・。

改めて、そう思います。

 

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